2010年12月11日15時41分掲載
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検証・メディア
アサンジ氏逮捕で、「国境なき記者団」が英国に公正な裁判を請願
国際NGO「国境なき記者団」(RSF)は、内部告発サイト「ウィキリークス」の創始者ジュリアン・アサンジ氏が英国で逮捕されたことで、同氏の公正な裁判を英政府に請願する書簡を発表した。書簡はRSFのジャン−フランソワ・ジュリアー総書記長から、英国のケネス・クラーク国家書記官(司法担当)宛に7日に出された。(パリ=飛田正夫)
RSFは、ロベール・メナー氏が1985年に創設した新聞出版の自由を擁護する組織で本部はパリにある。ジャーナリストや著述家の自由な表現を抑圧する世界的な監視組織でもある。「自由な新聞がなければ、どんな闘いも理解されない」が座右の銘。
メナー氏の雄弁は有名で、その発言はテレビで毎回話題になってきた。北京オリンピックの聖火リレーでは、中国・チベットでの人権擁護を訴えて、RSFの「手錠五輪」のロゴマーク旗をギリシャの聖火リレーのスタート時に掲げたり、ノートルダムの屋上やパリ市庁舎の窓にも「手錠五輪」の旗をぶら下げるなど活発な抗議行動を展開したことで知られる。
RSFの公式サイトに発表された書簡のタイトル名は、「ジュリアン・アサンジの逮捕後、英国に公正な裁判を請願」というもので、全文は以下のとおり。
http://fr.rsf.org/garanties-juridiques-appel-a-l-07-12-2010,38975.html
パリ、2010年12月7日
国家書記官殿
ルポルター・サン・フロンチェー(RSF、国境なき記者団)はウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ氏が英国警察に逮捕されたことで、この事件の周囲を支配する極度に緊迫した状況のなかで貴殿に弁護権を尊重する保障を請願いたします。訴訟は特にアサンジ氏のスウェーデンでの私的な次元での起訴であって、いかなる場合でもウィキリークスの発行に関わる裁判ではありません。
アサンジ氏は今後は判事の前に出頭し、判事によりスウェーデンへ引き渡されて、その後拘留になるか、あるいは釈放されるべきであります。
もし仮釈放される場合には、拘留を避けるために少なくとも保釈金12万ユーロ(約1400万円)と6人の保証人を立てなければなりません。
アサンジ氏の弁護士の1人のマルク・ステェファン氏が12月4日、RSFに述べたところでは、アサンジ氏の取り扱いが特別な対象にならなければ、一般的には国際逮捕状の最終発行と英国警察によるその受け取りとの間で、およそ10日ほど待たなければなりません。
アサンジ氏は自ら警察に出向いたのであり、その善意の行為は事件の審議では考慮されるべきであります。
ウィキリークスが政治的圧力とサイバー攻撃で数度にわたる凍結にあったことに、RSF は何度も抗議しました。
みんなに何でも隠さずに知らせるという使命を備え持つ国際的規模のサイトへの検閲という目論見を、我々は初めて確認することになったのです。
したがって我々は、アサンジ氏の件に関しては、外国の政府関係の圧力を排除した全く偏見のない検証を英国裁判所に要求したい。
いくつかの国の当局者はアサンジ氏の有罪判決を確定したがっていると思われます。あるいは少なくとも、同氏の今後の活動を阻止し、報道・伝達の自由を無視して、ウィキリークスの暴露に終止符を打とうとしているように思えます。
我々はウィキリークスが有益な仕事をしたと考えます。それは最近の10年間に対テロリズムの名の下に重大な人権侵害がなされてきたことを公衆のもとに知らしめたからであります。
貴殿に我々の懇願書を謹んで申請いたします。
敬具
ジャン−フランソワ・ジュリアー
RSF ルポルター・サン・フロンチェー事務総長
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