2011年01月09日00時22分掲載
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検証・メディア
米政府がツイッターに対し、アサンジやアイスランド議員の個人情報開示を要求
BBCやガーディアンなどが伝えたところによると、米政府はツイッターに対し、ウィキリークス関係者のつぶやきや個人的な情報を提出するよう命令したという。(ロンドン=小林恭子)
話がどんどん進んでいるので、もし速報を追う場合、「ウィキリークス」か「wikileaks」のキーワードで探し出したツイッターアカウントを追うのが一番早いと思う。私自身が見つけた情報も、日本語・英語ツイッターで出している。@ginkokobayashi(日本語)、@ginkotweet(英語)。
なかなかある程度まとまった日本語情報が出ないので、私が入手した情報はまだまだ不正確も知れないが、ひとまず概要をまとめてみた。
BBCとガーディアン記事(以下)をもとに、情報を抜粋した。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-12141530 http://www.guardian.co.uk/media/2011/jan/08/us-twitter-hand-icelandic-wikileaks-messages
昨年12月14日、米政府は、バージニア州の地方裁判所を通じて、ツイッターが持つ、ウィキリークス関係者に関する個人情報の引渡しを命じた。この情報要求は「現在継続中の犯罪行為の捜査に関連」しているそうだ。
ツイッターは情報を渡すまでに3日間の猶予期間を置かれ、情報を要求された件や捜査の存在を口外しないように言われた。
しかし、同じ裁判所が、この規制を1月5日解除。ツイッターが利用者側に対し、情報の提出要求の件を通知できることになった。
「ウィキリークス関係者」とは、ウィキリークスの代表者ジュリアン・アサンジ、メガリークの情報源といわれているブラッドリー・マニング兵、アイスランドの国会議員ブリギッタ・ヨンスドティル(女性)、オランダのハッカーRop Gonggrijp 、米国のプログラマー、ジェイコブ・アップルバウムである。最後の二人は、以前、ウィキリークスの中で働いていた。
要求している情報は、ユーザー名、住所、接続記録、電話番号、支払い情報の詳細だ。
7日、議員がツイッターで事の次第をつぶやいたことから、この件が広く知れわたった。
ヨンスドティル議員は、7日、米司法省がツイッターに対し、自分の個人情報と2009年11月以降のすべてのつぶやき情報を渡すことを要求した、とつぶやいたのだ。この要求に対し、これを控訴するための時間が、10日間あると書いた。
「米政府が、私の2009年11月以降のすべてのつぶやきを知りたがっている。私がアイスランドの議員だって言うことを知っているのかしら」−これがその時のつぶやきの1つだ。
「これは私の情報だけの問題ではない。ウィキリークスに関係しているすべての人に対する警告だ。こんなふうに米司法省が力を持って威嚇するのは到底受け入れられない」「私は幸運だ。議会の代表者だから。でも、他の人たちはどうするのか?この(力の)乱用を止めるのが私の義務だ」。
ツイッター側はこの件に関してコメントを出すことを拒否したが、こう言っている。「司法当局や政府が個人情報の開示を求めた場合、ユーザーの権利擁護を支援するため、ツイッターはユーザー側に開示の件を通知する。(ただし)法律上、ユーザーへの通知を阻まれた時は別である」
アサンジは8日、「嫌がらせ行為だ」とする声明文を出した。「もしイラン政府が」同様のことをしたら、人権団体や世界中が声を上げるだろう、と。
ワシントンにある、ネットの監視団体「電子プライバシー情報センター(EPIC)」の代表マーク・ローテンバーグは、米司法省がウィキリークスとアサンジを訴追する準備を始めているという。
EPICは、これより前に、司法当局に対し、マスターカードやビザ、ペイパルなどを通じてウィキリークスに募金を行った人に関する当局の調査内容をEPICに引き渡すよう要求してきた。
ローテンバーグは、「政府には情報を取得する権利があるが、法の範囲内でやらないと。ウィキリークスに対する、合法な起訴はありうるだろうか?私には、ありそうにないように思える。しかし、この点が、今米国で大きな問いになっている」と述べる。
今回のメガリークでリーク者となったとされるマニング上等兵だが、彼に関する情報を当局に渡したのが、ハッカーのエイドリアン・ラモである。
ラモは、マニングが最初にウィキリークスと接触を持ったのが、2009年11月末としている。この「09年11月」というのが、まさに、米司法省が要求する、アイスランド議員のツイートの時期と重なる。
ラモの話を暴露した米雑誌ワイヤードが、ラモとマニングのチャット内容を一部しか報道しておらず、「何かを隠しているのでは?」という声も、米ネット界であがっている。(この件は、英語圏のネット上でかなり盛り上がっているようだ。ご関心のある方は、キーワードで探してみればと思う。)
昨年7月、アサンジの同僚の一人で、先に名前も挙がったアップルバウムが、米当局に3時間尋問されている。
アイスランド議員のウィキリークスとのかかわりだが、彼女は、アイスランドの「モダン・メディア・イニシアチブ」法施行の動きに中心的な役割を果した。この法律は、アイスランドを調査報道と言論の自由の安息地にすることを狙ったもの。
また、昨年4月、ウィキリークスが暴露した、2007年のイラク戦争で米軍のアパッチ戦闘機が民間人を殺害した様子を撮影した動画の制作にも議員は協力した。
一説には、議員はウィキリークスの支援活動からは今は身を引いていたとも言われる。彼女は、アサンジがもっと目立たない動きをしたほうがよいといったそうだ。
TUP通信の宮前ゆかりさんによる以下の文章の中にも、アイスランド議員とウィキリークスのつながりの話がある。
速報864号 ウィキリークスとジャーナリズム
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=892
以下は一部抜粋
■アイスランドの画期的メディア政策(2010年12月13日)
今年六月、アイスランド議会は「アイスランド現代メディア構想」法案を満場一致で通過させた。スコットランド、英国、フランス、ベルギー、ノルウェー、スウェーデン、アメリカなど世界各国の「言論の自由」擁護の法律の中から特に優れた内容を取り入れ、内部告発者や調査報道を保護し、表現の自由や開かれたコミュニケーションを保障する画期的な法案だ。アサンジもこの法案作成に参加していた。さらに、この法案には表現の自由擁護分野における「ノーベル賞」級の新しい世界的規範設立が含まれている。
法案の作成と立法化に取り組んできたブリギッタ・ヨンスドティル議員は、イラクでの殺戮ビデオを編集しウィキリークスで公開したプロデューサーの一人だ。調査報道機関のサーバーをアイスランド管轄圏に保護したり、ジャーナリズムのハブとなる教育機構を構築したり、世界各国の内部告発者を擁護するための法律的なシステムを確立するなど、アイスランドが世界の「言論の自由」のメッカとなるための本格的な取り組みがすでに始まっており、国境を越えた民主主義の新しい展望が生まれようとしている。
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「ツイッターよ、お前もか?」になるのかどうかー?今のところ、「ツイッター・がんばれ、踏ん張ってくれ」の気持ちだがー。
考えてみると、ネット関係の大手はすべて米企業ーグーグル、アップル、フェイスブック、イーベイ、ツイッター・・・。なんと切ないことだろう、これほどまでに頼り切ってしまっていたとは。(「英国メディア・ウオッチ」ブログより)
追記:nofrillsさんという方が、この情報を詳細に追っています。以下はそのメッセージです。
「こんにちは。今回Twitterはがんばりました。あのcourt orderでは、Twitter社はユーザーには何も言わずに当局に情報を渡すこともできたそうです。しかし今回はユーザーに連絡をした。これにより、当該ユーザーはTwitter社から司法省に情報が渡されるのを阻止するために手続をとる時間(10日間)を得た。
これらの経緯、下記で当事者(アイスランドの議員、米国の技術者アペルバウムら)と、法務周りの人々、およびニュース系の人々のtweetをまとめてあるので、データベース的に共有・ご参照ください。
http://togetter.com/li/87263
エイドリアン・ラモのチャットのログをWiredが公開しない件についても、Togetterでまとめてあります。
http://togetter.com/li/82372
http://togetter.com/li/83478 (以上、nofrillsさんより)
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