2011年01月24日21時31分掲載  無料記事
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米国

米失業率 9.4% 〜失業率9%以上が連続20ヶ月超は大恐慌以来〜

  中間選挙で破れた民主党のオバマ政権が時期大統領選で再選を果たすためには現在9.4%に上っている失業率を下げなくてはならない。1月22日―23日付けのニューヨークタイムズではピーター・ベイカー記者が米国の厳しい経済事情をレポートしている。 
 
  失業率は昨年暮れの時点で9.4%だった。失業率が9%を越えるのは連続20ヶ月、1929年に起きた大恐慌以来だという。さらに正社員を希望しながらも一時的にパートでしのいでいる人や職を諦めた人を加えると、失業率は17%近くに達するというのだ。アメリカ経済は恐るべき状態になっているようである。 
 
  そこで、元になっているアメリカ労働省の統計にあたってみた。昨年12月の段階で、アメリカの失業者は1450万人。失業率は確かに9.4%だ。 
http://www.bls.gov/news.release/empsit.nr0.htm 
  失業者の内訳を見ると、成人男性では9.4%、成人女性では8.1%。人種別に見ると白人は8.5%、黒人は15.8%、ヒスパニックは13.0%、アジア系は7.2%となる。年齢別では10代が25.4%とかなり高い。 
 
  一方、こちらは米労働省のサイトで発表されたアメリカの消費者物価指数である。アメリカが一番恐れているのがバブル崩壊後の日本が陥ったデフレスパイラルだ。 
http://www.bls.gov/news.release/cpi.nr0.htm 
  統計では消費者物価指数は12月時点で前月比0.5%増となっており、6ヶ月連続で微細ながら+を連続している。過去に米国ではゆるやかにデフレが進行していると報じられていたが、1年前と比べると1.5%増となっており、この1年の全体の物価指数はプラスを保ったということになる。しかし、高い失業率から見て、デフレの危機はまだ回避できたとは言えないだろう。しかも、新たな雇用の多くは低賃金の職種だと聞く。 
 
  オバマ政権は経済チームを入替え、後半に臨むことになる。大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers)委員長はクリスチーナ・ロ−マー(Christina Romer)からオースタン・グースビー(Austan Goosbee)に、国家経済会議(National Economic Council)委員長は ローレンス・サマーズ(Lorence Summers )からジーン・スパーリング(Gene Sperling)に替わる。 
 
  もし、このチームが2年の間に成果を達成できなければ、リベラル派が唱えてきた21世紀における国家観にも影が差すことになる、と記者のベイカーは指摘している。 
 
村上良太 


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