2011年02月02日13時55分掲載
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ロシアン・カクテル
(26)「鬼は外!」─ ロシアの鬼はどこに住んでいるでしょうか? タチヤーナ・スニトコ
ロシアには日本の節分の豆まきのような鬼を追い出す特別な日はありません。恐らく、それがロシアには沢山の種類の多くの鬼が、それも人々の近くのいたるところに住んでいる理由なのだと思います。
一番鬼が沢山いるところは森の中、沼地、河、あばら家などです。海にはいません。山にもいません。ロシアの鬼は残酷なジャイアントではありません。スラブでは鬼の背は高くありません。普通の人と同じ高さかそれより背が低いのです。頭には角が生えていて、毛に覆われた尻尾があり、足には蹄があります。中には豚のような鼻の鬼もいます。ロシアは北国で寒いので、鬼の体は全身が毛で覆われています。
ロシアの文学には、鬼はよく半オーバーや燕尾服を着てぴったりとしたパンツを身につけた外国人として描かれています。その外国人というのは通常ドイツ人です。どの外国人もドイツ人と考えられていました。
しばしば、鬼と人間を見分けることは難しいのです。普通の場合、人の姿をした鬼はどこか体に欠陥があります。例えば、ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』の主人公のボーランドはひとつの目は黒でもうひとつの目は緑です。ところで、スターリンの足には指が六本ありました。
伝承では鬼は仲間又は家族で住んでいます。結婚していて子供もいます。女の鬼と浮気をしたり、飲み会をしたり、トランプカードで遊んだりします。
鬼が結婚式をするときは交差点で行うのです。結婚式で皆ダンスを踊りますが、人間には見えません。ただ、つむじ風や吹雪にしか見えないのです。
鬼の仕事は「悪事を働く」ことです。鬼は悪いことをしますが、人間に対して良いこともしてくれます。
人間の体に入り込む鬼もいます。そのような鬼は“ベーシ”(бесы)「悪霊」といいます。(ドストエフスキーの「悪霊」という小説はロシア語で“ベーシ”といいます。)
ベーシを体から追い出すにはバーニャ(ロシア風蒸風呂)に入るといいと言われています。鬼の体温は人間の体温より低いので熱が大の苦手なのです。
加えて、鬼は柏、白樺、柏陽が嫌いなのです。バーニャに入って鬼を体から追い出すにはこのような木の葉っぱのついた枝で体のあちこちを叩くのがいいと言われています。
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