2011年02月04日12時23分掲載
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アジア
スリランカ:洪水で東部州の食糧と生活に打撃 推定50万人が食糧不安に陥る
豪雨による洪水でスリランカでは何十万もの人々が住居を追われた。43人が死亡、3万軒が破損、倒壊した。国連によると被災地の人々は主に農産物の生産で生計を立てている。洪水は今季の米の収穫に大変な影響を及ぼし、食糧不安が高まっている。世界食糧計画(WFP)は約50万人が食糧不安に陥っていると推定している。(日刊ベリタ編集部、翻訳:清水洋子)
国連食糧農業機関(FAO)によると損失は45万トン、損害額は1億2000万US$に及ぶ。潜在的な被害もある。北部の復旧担当官は、今後さらに15.5%の損害が出るだろうと予想している。
洪水が襲ったのは収穫期のちょうど2ヶ月前、この島国では作付けのシーズンだった。耕地面積の約60万7000haのうち5分の1以上が被害を受けた。
影響が最もひどいのは東部州のアンパーラ県、バティカロア県、トリンコマリー県。1月8日から12日にかけて降り続いた豪雨により、1万1171haの耕作地が水没した。ポロンナルク県とバティカロア県の境界に沿ったマナンピティアのような町では数百haの水田が被害を受けた。そのうち81haは洪水で押し流されてきた稲には最悪の水生植物「ウオーター・ヒヤシンス」ですっかり覆われた。「水草が枯れるのを待つしかない。取り除くのは大変な出費ですから」と政府の農業担当官は語っている。
「一日中水没した田からは、もう収穫は見込めない」とポロンナルワ県の内陸部にあるクリミティア村の農夫は述べている。彼は収入の大部分を米作りに頼っている典型的なスリランカの小作人で、1.2haを耕作している。0.4haにつき約600ドルを支払わなければならないから、0.4haにつき1000ドルは稼ぎたいと望んでいた。彼には耕作資金の借金もある。保険には入っていない。援助金が直接得られない限り、損失の埋め合わせはできない。
被害は米だけではない。他の作物や家畜にも及んでいる。世界銀行スリランカ・オフィスの農村開発専門家は物価高の警告を発していたが、スリランカの主な野菜類を扱う販売センター(中央ダムブルにあるエコノミック・センター)ではすでに80%以上の値上りを記録した。
FAO(国連食糧農業機関)は被害の詳細を調査中だ。当面の援助は3週間後、もっとも被害のひどかった地域を対象にするという。政府は世界銀行と農民援助について交渉しているが、現時点では具体的な援助策はない。国連は1月20日、今後の半年間で100万人以上を援助するため、各国に約5100万ドルの拠出を呼びかけた。
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