2011年02月05日12時41分掲載
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中東
アラブの変革に揺らぐイスラエルの自信
現在、アラブ諸国で繰り広げられている反政府デモに対してイスラエル国内の反応は敏感になっている。その中でも隣国エジプトで繰り広げられている反政府デモに対するイスラエル国内の関心は強く、連日テレビ・新聞等で取り上げられ街の中でも常に話題に上がっている。(テルアビブ=松澤 聡)
第四次中東戦争後の1979年にイスラエルとエジプトはお互いの利益を考えた『和平』を結び30年あまり経過しているが、この両国間の和平についてイスラエル人は『見せかけの和平』と呼び、本当の意味での和平とはかけ離れていると言う。
実際、観光地としてイスラエルから近いシナイ半島を訪れるイスラエル人を標的にしたテロ事件やテロ未遂事件が多発しており、根強い反イスラエル感情を露呈している。
それでもエジプト・イスラエル間の和平が崩れなかったのは、両国にとって国境の安全確保とイスラエル側は課題であった天然資源の取引により継続的なエネルギーの確保・エジプト側は取引による継続的な収入の確保が必要であった為だった。
近年、イスラエルは石油に関してロシアなどの国からの輸入に以降しつつあるも、依然国境の安全やアラブ世界との微妙なバランスを支えるエジプトとの和平継続は国防と言う観点から見て最重要であると言える。
今回のチュニジアに端を発したアラブ諸国の反政府デモにより中東の民主主義が大きく生まれ変わる可能性もあるが、それはアメリカの外交力の下に保たれた安全の中にいるイスラエルにとって安全の危機に繋がる望まぬ変革でしかなく、今回のエジプト国民の反政府デモにより現政権が倒れた場合、イスラエル・エジプト間の和平継続に陰を落としアラブ世界との微妙なバランスに変化が生まれイスラエルの描く中東和平は完全に崩れ落ちる可能性もあるだろうと言われている。
多くのイスラエル国民は一連のアラブ諸国の反政府デモによる変革の結果、何らかの被害がイスラエルにもたらされると答えている。また一部では再びアラブ諸国との全面戦争が起るのではないかと言う憶測まで出て来ており、これまで強力な軍事力と外交力を盾に中東の主導権を握っていたイスラエルは今、周辺国の動向に対して非常に敏感になっている。
松澤 聡
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