2011年02月15日01時25分掲載
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文化
パリの散歩道14 〜幻灯師ベルゴンがアニメーションの原点に挑戦〜 村上良太
パリで活躍中のアーチスト、バンサン・ベルゴン(Vincent Vergon) による6分11秒の短篇アニメーション、「ファントーシュの独楽(こま)」をご覧下さい。普段、僕らが見慣れた「アニメ」とは違った、アニメーションの原点があります。映像は以下のサイトで見られます。
http://vimeo.com/7150264
「ファントーシュの独楽」はフィルムをひっかいて作ったアニメーションです。いわゆるストーリーはなく、純粋に線と形が移り変わっていく不思議な世界です。バックにはバルトークの音楽を使用しています。普段、僕らはアニメーション映画のストーリーで感動したり、笑ったりしていますが、そうした通俗的な意味を拒絶し、予測がつかない形の変化を追いかけたものです。
制作は2004年。クレルモンフェランの映像フェスティバルでは「具象と抽象の間にあり、版画とアクションペインティングを想起させるアニメーション」と評されました。
アジアなど世界各地で上映され、パリのシネマテークフランセーズでもエミール・コール(Emile Cohl)回顧展の一環として、上映されました。エミール・コールは世界で最初にアニメーション映画を作ったフランスのカリカチュア画家です。1907年にコールが最初に作ったアニメーションのタイトルが「ファントーシュ」でした。元の意味には操り人形とか、傀儡といった意味があります。
ベルゴンは幻灯などの古い技術を現代に再び生かすことで、新しい文化を創りたいと語っていました。少し古い技術には人の手触り感とかぬくもりが残っています。
■2008年のエミール・コール回顧展に関する記事
http://www.afpbb.com/article/entertainment/movie/2376862/2813430
■「アニメーションの父」エミール・コールのホームページ
http://www.emilecohl.com/
■ベルゴンに関する記事「パリの散歩道9」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201007300041275
村上良太
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