2011年02月20日14時21分掲載
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TPP/脱グローバリゼーション
【TPPって何なんだ】「どこでも誰でも百姓で生きていける幸せを」 TPPに反対する「百姓女の会」が動き出す 西沢江美子
TPP(環太平洋経済連携協定)参加反対を掲げた農村女性の小さな集まりが2月18・19日に埼玉県下で開かれ、全国から農業に携わる女たちが参加しました。「どっこい生きたい百姓女の会―どこでも誰でも百姓として生きられる社会をつくろう―」と銘打たれたこの集まりは、18日はさいたま市で、19日は秩父市で持たれ、北海道から沖縄まで延約100人が参加、「どこでも誰でも物がつくれ、加工ができ、販売でき、買い物難民にならず、お医者さんにかかれ、孫たちが学校で学べ、移動の足がある社会」をつくるために「TPPに反対する」ことを申し合わせました。この申し合わせをもとにそれぞれの地元議会や首長、政府に働きかけると同時に、地域で小集会を積み重ねて社会に自分たちの思いを訴えていきます。
この集まりは北海道、山形、栃木、埼玉、東京、神奈川、静岡などから自発的に参加された女性が実行委員会をつくり、準備しました。実行委員に参加された人含め、平均年齢は60代後半から70代ということろでしょうか。中にはメールをする人もいますが、やりとりは手紙とFAXが中心という今時珍しいアナログの世界です。また準備段階から回覧ノートという、戦後の農村女性運動をつくりあげた手法を復活させました。自分の思いを綴り、それを次の人に回す。こうして今もノートは確認できただけで7冊、本当は何冊が回っているのかわからないくらいのノートが、村の女から女へ、たすきのように受け渡されています。
回覧ノートには、近い人の自殺やうつといった深刻な話がたくさん書かれています。そしてTPPは自殺やうつを増大せせるだけだという指摘がありました。また沖縄・読谷村から参加した女性は、「米軍基地をなくすことと沖縄農業をきちんとしたものにすることは同じ問題なのだ」と強調されていました。90歳代になる参加者から、1950年代の内灘米軍試射爆場反対闘争では百姓がダイコンをつくり続け、妙義基地闘争では高原野菜をつくり続けることで勝利した経験が話されました。
18日の集まりでは、日常の暮らしや百姓仕事の中から紡ぎだされた女たちのさまざまな思いが、具体的な提案、意見として活発に出され、討論の結果、
五つの約束事として申し合わされました。
1、どこでも誰でも農作物をつくれ、加工し、販売する権利を奪うTPPに反対する。
2、どこに住んでいても買い物ができ、お医者さんにかかることができ、子どもたちが身近な学校に通え、出かける足があり、年金や貯金が受け取れる農協や郵便局がある、そんな幸せを守ろう。
3、人として尊厳をもって生きる権利を追求する。そのために百姓女として、小さな、少量多品目の農業を守り、復活させ、集落を拠点にそうして作った農作物を保存し、加工する技術を実践し、次の世代に受け渡し、5人家族で年収500万円の農業収入をめざす。それ以上はいらない。
4、最後まで働いて死んでいけるための公共財として、医療機関、教育機関、水道、電気、道、郵便、役に立つ農協がなくなることはあってはならない。
5、戦争・軍事基地と農業は相いれない。百姓女として生きることは戦争をなくす道でもある。
こうした申し合わせをもとに、次のような運動を進めます。
1、TPP反対の手紙を首相官邸と農水省に出す。
2、首長や地方議会に「TPP反対決議」を働きかける。
3、一緒に闘おうと全国農協中央会と全漁連に申し入れる。
4、北海道、沖縄、東京からスタートし、各県で百姓女のリレー集会を開く。
5、報告集を出す。
(報告集ご希望の方は西沢江美子までFAXで。0494−25−4782。
1000円)。
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