2011年02月27日17時22分掲載
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文化
多文化主義国家オーストラリアで国民の半数が反イスラム感情持つ
オーストラリア国民の48.6%が反イスラム感情を抱き、それを態度に表わしているとの調査結果が明らかになった。全土の大学の研究者が数千人単位の国民を対象に10年がかりで、異なる文化に対する態度や人種差別体験に関して行った調査によるもので、同国の公共放送ABCが伝えた。(クアラルンプール=和田等)
異なる文化に対して偏見を抱いていると自覚していると答えたのは全体の約1割で、「ユダヤ人やアジア人に反感を持っている」が約4分の1、「先住民アボリジニに対して偏見を抱いている」は4分の1強だった。
オーストラリアは多文化主義政策にもとづいた異民族・異文化の相互理解に力を入れる国とされているが、いまだにイスラム教徒に対する反感が強いということになる。州別でもっともイスラム教徒に対する反感が強かったのがニュー・サウスウェールズ州で、全体の54%がイスラム教徒に対する嫌悪感を表明した。
この調査の主任調査官ケビン・ダン西シドニー大学教授は、「今後もイスラム教徒が亡命を求めてオーストラリアに押し掛けているとの政治的なレトリックが弄されるのだすれば、国民の心に暗い影を落とすことになる」と指摘。国際学生協議会のロバート・アトチェソン会長は、「この調査でオーストラリア人が人種差別感情を強く持っていることが判明したことで、海外留学を希望する学生が留学先を選定する際に、オーストラリアを避けようとする傾向が強まる恐れがある。この調査結果は、すでにダメージを受けているオーストラリアの評判にさらなる打撃を加えるものといいだろう」との懸念を表明している。
なお、同国で最近、インド人留学生に対する嫌がらせや暴力事件が横行し、社会問題になっている。
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