2011年03月13日05時50分掲載  無料記事
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東日本大震災

福島第一原発の冷却作業は?〜海水の注入は成功しているのか?〜

  13日午前5時半、地震以後の原発の状況について原子力安全・保安院の会見が行われた。建屋で爆発が起きた福島第一原発・1号機では炉心を冷やすため昨夜から、原子炉の圧力容器内に海水の注入を行っている。しかし、いくら海水を注入しても炉の容器内の水位が上がっていない疑いがもたれていた。ということは、海水を注入しても何らかの形で水が流出し、炉心の冷却機能を果たせない可能性があることを意味する。 
 
  原子力安全・保安院の担当者は1号機の水位計の表示を信じていない、と言った。しかし、実際に中がどうなっているのかは、会見のテレビ中継では不明だった。ポンプの圧力から計算すれば圧力容器が満水になっていてもおかしくないという。しかし、本当にどれだけ水が入っているか不明の模様だ。とにかく今は海水を注入し続ける事が大切だとのみ語った。これまで海水が途切れる事がないように作業に東京電力担当者を張り付けて監視させてきたが、さらに原子力安全・保安院も立ち会うように海江田経済産業大臣が指示したという。 
 
  ポンプは1時間で30トンの水を供給できるが、その能力を最大限使って給水を続けている。原子力安全・保安院の担当者は容器は無事だと語った。ということは容器の裂け目などから水が漏出していないということになる。しかし、具体的に中がどんな状況か、満水なのかどうか、など会見では不明だ。 
  海水が途切れると危険なため、現在使っているポンプが壊れた場合を考慮し、代替方法も準備しているという。 
 
▼核反応を抑えるため、海水に硼酸を加えているという。 
 
▼圧力容器は格納容器の内側にあり、原子力発電のための核反応を起こす中心的な空間である。ここに燃料棒が並んでいる。その燃料が高温化するのを防ぐため、現在海水を注入して冷している。しかし、圧力容器内の海水の水位が低いと燃料棒の上の部分が露出し、高温化していく。燃料棒がどれだけむき出しになっているかが、問われている。燃料が加熱し過ぎると、溶けて圧力容器の下に溶け落ちてたまっていく(炉心溶融)。 
  1979年にアメリカのスリーマイル島で起きた原発事故ではこの炉心溶融が起きた。ウィキペディアによると、スリーマイル島の事故では炉心溶融(メルトダウン)により、燃料の45%、62トンが圧力容器の底にたまった。 
 
▼ウィキペディア「炉心溶融」の概要から 
 「原子力発電は、核分裂を人工的に発生させ、その熱を人類が使うためのエネルギーに変換する。核燃料を人工的に非常に高温な状態とするため、原子炉に装荷された核燃料は、水などの冷却材によって常時冷却されている。この水が減って核燃料が露出するなどが原因で高温となり、燃料自体を溶かしてしまう現象を炉心溶融を言う。炉心溶融が起こった後、冷却処理を取らなければ、核燃料の膨大な熱エネルギーによって原子炉圧力容器や格納容器、原子炉建屋などの構造物も破壊し、最終的には外部に放射性物質を大量に放出する恐れがある」 
 
▼現在、海水を注入して燃料の過熱を抑えようと試みている。しかし、圧力容器内の水位が上がらず燃料棒が水面の上に露出すると水素が発生する。その水素が水素爆発を起こすという。 


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