2011年03月14日16時34分掲載
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東日本大震災
マレーシアが災害救助チームを日本に派遣 経済面での影響心配する声も
3月11日に日本を襲った東日本大震災を受け、マレーシア政府は12日、災害救助活動支援のため、マレーシア特別災害支援・救助チーム(SMART)の隊員15人、医師と医療支援者数人、災害救助犬6匹をC−120航空機2機に乗せて日本に派遣した。ナジブ首相は「この支援は日本政府と同国民に対するマレーシアの同情の念と支援を示す行為である」と語った。国営ベルナマ通信が伝えた。しかし、日本政府側がまだ災害救助チ―ムの受け入れ態勢がとれていないので態勢が整うまで待機を、とマレーシア側に伝えてきたことから、救助チームは急きょ、マレーシアに引き返した。日本政府からのゴーサインが得られ次第、消防隊員20人、SMART隊員15人、厚生省職員7人、赤三日月のメンバー5人などを派遣する態勢をとり、それに備えて救助チームや災害救助犬5匹、四輪駆動車2台を運ぶC−120航空機2機をクアラルンプール郊外のスバン空港に待機させている。(クアラルンプール=和田等)
日本政府が海外の災害救助チームを即座に受け入れない背景には、物理的な環境が整っていないという要因のほか、震災直後のあまりもに悲惨な被害状況を隠したいとの意図が働いているのでは、との指摘もある。
一方、ナジブ首相は、マレーシア政府は東日本大震災をはじめとする世界各地で起こっている災害がマレーシアの経済や物価におよぼす影響を見極めているところだと述べた。
東日本大震災がマレーシアの経済におよぼす影響についてはさきにムクリス・マハティール副通産相(マハティール元首相3男)が、マレーシアにとって主要な貿易相手国であり、有力投資国である日本の経済が3・11大震災で大きな打撃を被れば、マレーシアの経済にも甚大な影響を出ることになるだろうとの懸念を表明していた。
同相はまた、「日本人が一刻も早く状況を立て直し、世界経済に深刻な影響をおよぼさないようにしてほしいと願っている」との希望を表明した。さらに同相は、震災後の負担軽減に向けマレーシアは、日本が必要とする支援をあらゆる方法で実施すべきであるとして、マレーシアとしてさまざまな角度から人道的支援に取り組んでいく姿勢を示した。
一方、3・11大震災の影響は意外なところにもおよんでいる。クアラルンプールで11〜13日に開催された同国最大の旅行に関するMATTAトラベル・フェアに出展した旅行代理店の間で日本行きのツアー、とくに花見ツアーをキャンセルするところが相次いだのがその一例だ。近年、マレーシア人の間では北海道を中心に日本行きツアーの人気が高まっているが、旅行代理店にはすでに申込を済ませた人たちの間からも日本行きのツアーに関する問い合わせが殺到、「今回は旅行を見合わせたい」との申し出も多数出ているという。東日本大震災の影響がかなり広範囲におよびそうなことを予兆させる事例といえよう。
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