2011年03月15日18時31分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201103151831312

東日本大震災

NYTがグラフィックを使って福島の原発事故を解説

  3月14日付のニューヨークタイムズは炉心溶融(メルトダウン)のメカニズムをコンピューターグラフィックスで解説している。1から7までをクリックする。さらに福島第一原発の立体イメージ図も出ている。 
http://www.nytimes.com/interactive/2011/03/12/world/asia/the-explosion-at-the-japanese-reactor.html?ref=asia 
 
(▲上のアドレスにあった原子炉の図解はNYTのウェブで別のイラストに変わってしまったようである) 
 
  以下は説明より。 
 
  原子力発電ではウラン燃料ペレットの格納された燃料棒を水につけておく。ウラン燃料の核反応で生まれる熱エネルギーで水を蒸気に換え、タービンを回して電力にする。 
 
  福島第一原発で起きたことは何か。地震の時、核反応をコントロールする制御棒は正常に働いたが、冷却装置が電力切れで稼動しなくなった。核反応は止められても燃料棒は高熱を発するため、常に水面下につかっていなければならない。 
 
  そこで燃料棒を冷却するために外から水を燃料棒の並ぶ圧力容器内に注入した。その結果燃料棒の熱で沸騰した蒸気を弁から排出し、排出されて減った水量を補うため、さらに水を注ぎ続ける。「しかし、沸騰して蒸発する水の量の方が、注ぎ入れる水の量よりも多かった」。 
 
  そのため、燃料棒が次第に水の上に露出し、加熱していった。さらに核燃料(ウラニウム燃料のペレット)を収めている燃料棒のzirconium(ジルコニウム)製のケースが破砕され、放射性ガスと水素を放出した。これによって土曜の水素爆発が起きたと思われる。 
 
  この燃料棒の部分が溶け落ちて下にたまり、熱エネルギーで格納容器を破壊した場合には放射性物質が外部に拡散してしまう。 
 
  ニューヨークタイムズはこのようなわかりやすい説明をしている。そのコンピューターグラッフィックスはあまり簡略化せず、実際の原子炉に近い図になっている。日本のテレビで放送されている説明図はかなり簡素化していると思われる。炉の中のリアルな構造が見えにくい。わかりやすくするために簡略化することも大切だが、そればかりだと、現実と乖離してしまうことにもなる。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。