2011年03月18日21時05分掲載
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東日本大震災
茨城県の北、福島市等はすでにやや危険な状態 武田邦彦教授(中部大学)が推計
福島原発事故の情報をブログで発信している中部大学教授の武田邦彦さん(総合工学研究所)が「どこがまでが危ないか:計算結果」を17日に発信した。放射線による健康被害について、昨日から政府やNHKが間違ったことを言い始めたので、少なくとも緊急にそれを言っておかなければいけないと思い記事を書きました」と武田さんは述べている。計算結果は「 原発の近くの町や、茨城県の北の地域、福島市等はすでにやや危険な状態にある」というものであった。以下、武田さんの発進した記事を紹介する。(日刊ベリタ編集部)
原発 緊急情報(11)
どこがまでが危ないか:計算結果
http://takedanet.com/
放射線による健康被害について、昨日から政府やNHKが間違ったことを言い始めたので、少なくとも緊急にそれを言っておかなければいけないと思い記事を書きました。
記事について多くの専門家、大学の先生、それに勉強中の大学生等からも、計算やデータが提供されました。
重要な事だったので、もちろん、自分としては正しいと思うことを書いたのですが、万が一と思ってチェックをしてもらいましたが、考え方、計算などは基本的な間違いはありませんでした。
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その結果をまとめますと、
1)原発の近くの町や、茨城県の北の地域、福島市等はすでにやや危険な状態にある、
2)東京まで来ると今のところまだ危険な状態にはない、
3)データが部分的なので、全体的な見通しができない、
4)健康な大人と、妊婦もしくは赤ちゃんとでは、放射線の感度が相当違うので、誰を基準にするかで危険度が変わってくる、
ということです。
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ニコニコ動画の生放送でお話した通り、わたくしは政府の責任者としてではなく、「家庭のお父さん」として判断をしています。
家庭のお父さんという意味は、家には妊娠した人もいるでしょうし、赤ちゃんもいるでしょう。それから楽観的な見方もあるし、悲観的な見方もあります。
その中でわたくしは、やや頭の隅に赤ちゃんを考え、極端に悲観的ではなく、でも多少は「万が一」ということも頭に入れて計算をしています。
これは「事実をそのまま見る」ということとも相反することではありません。つまり、赤ちゃんは現実にいますし、原発の処理がうまくいけば汚染はなくなっていきます。逆に1ヶ月ぐらい続くこともあるのです。
そして私は福島に住むお父さんとして、「このままいった場合、子供を少し遠くにやったほうがいいかどうか」ということを考えたのです。
さらに、今日だけのことを考えるわけにも行きません。今日のデータだけを使うのではなく、おおよその今後の変化も加味しました。
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重要なことですから。前提を細かく説明しておきます。
【第一】
まず、政府や NHKがどのように間違って言っているかというと、
1)1時間あたりの放射線というを値は、わたくしたちにはほとんど関係がないのに、1時間あたりの放射線の値を言っていること、
2) それを全く関係のないレントゲンの場合などと比較していること、
です。
つまり、「1時間当たりの放射線が1ミリシーベルト」だったとします。これを仮に1秒あたりの放射線でいれば、0.3マイクロシーベルトになり、「全く問題のない放射線の強さ」になります。
逆に、1年あたりの放射線とすると、約9シーベルトになるわけですから、「全員が死亡する放射線の強さ」になります。
わたくしの注意点の第一は、政府や NHK が1時間当たりの放射線の強さを、それと関係ないレントゲンの量などと比較をしていることです。
1時間あたりの放射線の強さは専門家にはある目安になりますが、「自分がここにいてよいのか、子供をここにおさせていいのか」ということを考える時には無意味な数字だからです。
わたくしは今朝、その危険性に気が付いたわけです。
【第二】
一方、例えば、1ミリシーベルトのところ(1時間あたりでも1秒あたりでも)にいても、それは24時間ずっと外にいる時です。現実的には、冬場でもありますし24時間外にいるということはありません。どんなに長い間外にいてもせいぜい6時間ぐらいでしょう。
ですから例えば1ミリシーベルトという時にはそれを4分の1にして0.25シーベルトとして計算するのがよいと思います。
ただ家によっては換気の状態が違いますので、なかなか一概には言えないということがあります。かなり密閉性の良い家にいて、ほとんど外出しなければ10分の1ぐらいというデータもあります。
逆に、外から帰って来ても服の外に放射性物質がついているときに、それを綺麗に払わなければ被曝する時間は長くなるということになります。
【第三】
また、赤ちゃんや妊婦が普通の人よりどのくらい感度が高いかということはなかなか難しくて、一概に言えません。
おおよその目安は、赤ちゃんや妊婦は普通の人の10倍ぐらい安全性を見たほうがいいというところでしょう。赤ちゃんを育てている人はこのことがとても心配だと思いますので、今後も少し調べていきたいと思います。
今のところ、わたくしは家のお父さんとして、「自分はまあ大丈夫だけれども妊娠している女性もいるから、安全を見たほうがいい」というように考えています。
【第四】
最後に、今日のデータを使うか、今後1週間ぐらいに予想されることのうち「やや悪い方を使うか」という問題があります。今日のデータだけを使えば、良いデータもあれば悪いデータもあります。また、今後1週間を考えると予想が外れることもあります。
しかし、福島原発の問題で冷却がうまく行き沈静化してしまえば、それはそれで良かったのではないかと思います。
危険を煽りすぎるという批判は必ずありますが、原発が上手く安全になったときだけのことを考えるのも問題です。
福島原発の容器が破裂して今の10倍ぐらいの放射線がでるようになったときのことを考えておけば、お父さんとしての責任は果たせるのではないかと思います。
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そこで、計算に入ります.
一昨日からのおおよそのデータを参考にして、「赤ちゃんがいる家庭で、福島原発の容器が破裂して、放射線が10倍ぐらいになったとき。最低でも1ヶ月ほどは一日の4分の1は外にいる状態で、今のところで生活しても良いか」ということで計算します。
そうすると、
{元のデータ(1時間あたりのシーベルトの平均値)}*10(赤ちゃん)*10(容器破裂)*0.25(外にいる時間)*1000(1時間と一ヶ月少しの時間の比率)
=1時間あたりのシーベルトの平均値×25000
となります。
読者の方で大人の人は計算の値を10分の1に、原発は今の状態より悪くならないと思う人は10分の1にしてください。
ここで原発が今より10倍の放射線の漏えいになるとしたのは、政府が「福島第一3号炉に水を追加するには17日が限度だ」とコメントした「限度だ」ということを今より10倍としました。(「限度だ」では計算できないから)
つまり、以下の計算は、
{今のところに1ヶ月以上は住むつもりで、赤ちゃんがいて、福島原発が今より少し悪くなる}
ということが前提です.
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1) 浪江町の人
文部科学省が測定した時の放射線が最大で330マイクロシーベルト、最低が160マイクロシーベルトだったので、これをそのまま平均して考えると(一日平均、もしくは今までの累計はデータが手元にありません)、
毎時245マイクロシーベルト*25000=約6シーベルト
計算結果:死ぬ。
容器が破裂しない場合:
245マイクロシーベルト*2500=約600ミリシーベルト
計算結果:白血病になる。
2) 高萩市 14日22時から15日22時まで1日間
平均放射線 毎時約2マイクロシーベルト
計算:2*25000=50ミリシーベルト
計算結果 法律の許容値の50倍。白血病の4分の1
3) 福島市 文科省データ 毎時20マイクロシーベルト
(一日の平均値不詳)
計算 20*25000=500ミリシーベルト
計算結果 白血病
4) 東京 いろいろなデータが毎時0.1から1マイクロシーベルトぐらい
計算 0.1or1*25000=2or25ミリシーベルト
計算結果 法律の許容値の2から25倍程度。
やや危険。
となります。これは「危険を煽ることも、内輪に計算することもしない」場合です.
このように計算しますと、
1) 原発に近い人は風上の遠いところに移動した方が良い、
2) 福島、高萩ぐらいのところの人はやや危険で、原発が沈静化すれば良いし、容器が破損すると逃げた方が良い、
3) 東京はまだ少し余裕がある、
ということになります。
この計算結果は多くの方からの情報でまた修正しますが、福島、茨城の地域のデータでは時間あたり3マイクロシーベルトぐらいがでているので、赤ちゃんや妊婦の方は注意した方が良い、東京はまだ少し余裕があるという事になりました。
やや予想より厳しい結果になりましたが、これは赤ちゃん係数10、原発の悪くなる係数10が効いています.赤ちゃんや妊婦はデータをさらに調べます.また原発が悪くなる係数はそれぞれの予想によって考えてください。
(自衛隊のヘリコプターの測定値は毎時80ミリシーベルトぐらいだったが、昨日はさらに高かったと報告されている.80ミリシーベルトでは1時間から4時間で白血病などになる。自衛隊員も可哀想だ.)
武田邦彦(平成23年3月17日午後2時 執筆)
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