2011年03月26日13時18分掲載
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イスラエル/パレスチナ
イスラエルでバス爆破事件 広がる反パレスチナ感情 松澤 聡
イスラエル時間23日午後3時頃、エルサレムのバスターミナル近くの道路脇に仕掛けられた爆弾の爆発により、公共バスに乗っていたイギリス人観光客の女性が死亡するなど38人の死傷者を出す事件が起きた。
警察は前日にイスラエル軍によって行われたガザからのロケット弾攻撃の報復攻撃へのパレスチナ人過激派グループによる報復攻撃と見て捜査を始めている、今月12日にはヨルダン川西岸地区内に住むユダヤ人宗教者家族5人が刺殺される事件が起き、被害者に幼児が3人含まれている事もありイスラエル国内では反パレスチナ感情が広がっており、これに対してパレスチナでは周辺アラブ国の反政府革命に触発された反イスラエル感情が加熱し5月15日にインティファーダ(蜂起)を起こそうとFacebook上で呼びかけ、現在284000以上の人が支持しておりイスラエルの治安体制が強化されるのは必至だ。
一方、イスラエル市民レベルでは2009年ガザへの進行時以来の緊張状態に恐怖心を抱く市民もいるが、まだ大きな争いにはならないだろうと楽観視している部分もあり、今の所生活に大きな変化は見られていない。
しかし、今回の事件の進展によっては、バス爆破事件が多発した2004年頃までと同様にイスラエル市民の間で一般公共バスに乗る事を控えたり、大型バスの横を車で並走しない様に走行する等の変化は生まれて来るだろうと予測される。
通常テロが起きる、もしくはテロの情報が入ると道路には警察もしくは軍の簡易検問所が作られ、パレスチナ人やパレスチナ人と容姿が同じなミズラヒ系イスラエル人が止められIDの提示を求められ、パレスチナ人である場合の多くは車内の捜索をされる。この様な簡易検問所は、隣接しているアラブ系イスラエル人の街からイスラエル人の街へ続く道路で日常的に行われている。
また、今回の事件は爆弾を遠隔操作で爆破させたと言われており、爆発の数分前には市民が爆弾の入ったカバンを不審に思い警察に通報していたと言う事が分かっている。
街で不審物を見つけた場合にイスラエル警察は、不審物の周りから人を退去させ周りに爆破の影響がないと思われる場合には離れた場所からライフルで不審物を狙撃し撤去する、爆破の影響があると判断した場合にはロボットを使い不審物を撤去すると言う方法をとっており、これらは夏の観光シーズンのテレアビブでは良く見られる光景である。
この様に検問される事も爆破事件に巻き込まれる危険性も殆どない日本人から見ると『ほんとなの??』と想像できない事がイスラエルの日常では当たり前に行われている。
そして、今回パレスチナ・イスラエル問題に対して常に付きまとう基本的な意見を伝えたい。
それは、この様な危機管理体制を取らなければならないイスラエルが被害者なのか?
または、イスラエル政府からの軍事攻撃や抑圧を受けているパレスチナが被害者なのか?
と言う意見である。
僕個人の意見としては、一つの出来事の結果だけを見れば、パレスチナ人は被害者であると言えるでしょう。
また違う出来事の結果を見ると、イスラエル人は被害者と言えるでしょう。
簡単に誰が加害者で誰が被害者だとは言えない程に根がとてつもなく深い問題であり、一概には言えないと言うのが僕の意見です。
またこの問題に対して、対立的立場を取りたがる活動家が事態を硬化させている事実もあり、そうした現状を打破する為にも生活が垣間見れる真実の報道がこれからもっと大切になるでしょう。
松澤 聡
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