2011年04月04日12時58分掲載
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アジア
南タイの洪水・鉄砲水で地域はズタズタ 被災地は原発建設候補地のひとつ
タイで知り合いに会うと、開口一番、お悔やみの言葉をかけられ、家族の中に被災した人がいなかったかどうかたずねられました。そして、日本で起きたことにタイの人たちがショックを受けている最中に、南部タイで大規模な洪水・鉄砲水被害が発生しました。日本でも報道されていると思いますが、先月末からタイでは異常低温と天候不順が続き、未曾有の豪雨によって南部タイのナコーンシータンマラート県を中心に死者35人という大きな被害が出ています。物流などのライフラインが断たれてため、直接・間接の被害を被った人の数は200万人にのぼるといいます。(バンコクにて岡本和之)
街で買い物をしていても、日本人だとわかると、恐かったか、原発から放射能がまだもれているのか、などと聞かれます。
タイのメディアは日本の大地震・原発事故を連日大きく報道し、その中には日本のメディアが人権面の配慮から「自主規制」して流さなかったたかなりショッキングな映像などが含まれていたようです。日本の漁村など観光地でない日本を
紹介して人気のある番組「わびさび」は、被災者のためのチャリティーコンサートなどを流す「日本を抱きとめる」という臨時番組に切り替わっていました。
そんな中起きた南タイでの鉄砲水で村、道路、橋が根こそぎ流された光景は、東北の津波被災の跡を思い起こさせます。タイの人たちも同様で、日本で起きたこととタイで起きたことを何かのつながりを感じているようでした。市場で酔っぱらった男性が「天罰だ」と叫んでいるのも見ました。
街では日本への義捐金を募る垂れ幕やポスターが掲げられている傍ら、早速学生たちが募金箱をもって南部タイ被災者への支援を訴えていました。ご存じの通り、今回大きな被害を受けたナコーンシータンマラート県はタイ政府の原発計画
で建設予定地の筆頭としてあげられているところです。タイと日本の市井間で情報交換しなくてはならないことがたくさん出てくると感じました。
バンコクのビジネスビル、デパート、高架鉄道の駅といったところに日本の地震・津波被災者と南部タイの洪水・鉄砲水被災者への義捐金募金箱が並んで置かれています。これはいい意味で当然のことなのですが、後者の募金箱の方が大き
く、今起きたばかりの災害ということで募金もたくさん集まっているようでした。
南部タイのタイ湾側の交通・物流網はほとんど絶たれている状態で、タイ政府は対応の悪さで批判を浴びた日本政府を反面教師としたかのように、軍艦の派遣など素早い救援策を打ち出しています。今回日本が経験した正負双方の様々なこ
とが、海外の人々の考え方に影響を与えたことは確かだと思います。
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