2011年04月06日02時43分掲載  無料記事
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生活

駐輪場が欲しい!      村上良太

  今回の原発事故や計画停電、あるいは燃料不足で、自転車が見直されている。しかし、自転車が走る道や駐輪場はほとんど整備されていない。特に都心のオフィス街ではそうだ。仕事で自転車を使おうと思っても駐輪場がまったくない。駐車場はあちこちにあるにもかかわらず、だ。これは日本が自動車産業第一を国策にしてきたことに起因する。車道ばかり作り、農業を犠牲にして輸出産業である自動車産業に便宜を図ってきた。そんな日本の政策をどう考えるかが問われている。 
 
  自転車は燃料がいらない点で、理想的な移動手段である。健康にも良い。しかし、自転車が暴走している、といった批判記事は多数書かれても、駐輪場がないという記事には未だお目にかかった事がない。駐輪場の有無はあまりにも生活の基本過ぎて、記事にならないのだろうか。 
 
  結果的にオフィスビルの入口に停めたり、周囲の歩道に停めたりすることを強いられてきた。それも、やましさを伴ってである。人によってはビルの階段の踊り場に停めていた人もいた。しかし、これは防災上よくない。なぜ自転車を使おうとすると、このようにミゼラブルな気持にさせられるのだろうか。 
 
  仕事でよく使った日比谷図書館にも自転車を停める場所はなかった。やむなく図書館の周囲に停めていただけなのである。公共施設ですら、そうである。都市のすべてがエネルギーを消費する自動車を中心に設計されている。エネルギーを膨大に使うように都市が設計されてしまったら、個人が頑張ろうとしても限界がある。エネルギーの問題は都市の設計の問題でもあるのだ。 
 
  何もかもパリがいい、とは思わないが、パリでは少なくとも自転車道を整備している。あるいはそれに取り組んでいる。一方、日本でもたとえば東京の荒川区で自転車道を作る試みがある。小さなことだが、自転車の走れる道を各地に作り、延ばしていくことはエネルギー消費を減らす一歩だろう。 
 
  自転車を大切にすることは自転車職人を大切にすることでもある。北区や荒川区には昔から町の手作り自転車工場がいくつかある。1万円以下の自転車も便利だが、数万円のオーダーメイド自転車も悪くない。僕にはなかなか買えないが・・・。手作り自転車は体にフィットするように1台1台作られているからである。 
 
  統一地方選、都心に駐輪場を作ると約束してくれる候補者がいたら1票を投じたいものである。 
 
■荒川区の自転車道 
http://www.city.arakawa.tokyo.jp/unet/issue/0605_2/index.html 


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