2011年04月07日14時39分掲載
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核・原子力
仏の独立放射能調査情報委員会が「汚染は深刻」と警告
フランスの独立調査機関CRIIRAD(独立放射能調査情報委員会)は3月30日、日本で「多数の人々が放射能にさらされたままになっている!」との警告を発した。汚染の状況を「ただちに健康に影響を与える数値ではない」とする日本政府の発表に対し、CRIIRADは「大気、食べ物による内部被ばくや外部被ばくを総合的に考えると、汚染は深刻」と懸念を示している。この声明は同団体のホームページで公開されているが、日本の国民に直接情報が届くように日本語訳されて掲載されている。(上林裕子)
CRIIRADは1986年、チェルノブイリ原発の事故から放出された放射性物質のヨウ素131とセシウム137による汚染をフランス政府が隠ぺいしたため、国民が十分な情報を得られず大きな被害を受けたことをきっかけに作られた。政府から独立した原子力調査機関で、「放射能と原子力について知る権利」「放射性物質の危険から身を守る権利」を擁護することを目的としている。
CRIIRADは日本語訳を3月17日から掲載している。3月20日の声明では、日本政府が「福島第一原発近辺でとれた農産物に『微量の』放射能が検出されたが、汚染のレベルは人体に影響がある量ではない」と報じたことに対し、「その情報は誤りを含んでいる」と指摘している。
(1)6100ベクレル/kg〜15020ベクレル/kgで平均すると1040ベクレル/kgの放射性ヨウ素がホウレンソウから検出された。汚染レベルは高く、微量とは言えない。
(2)ホウレンソウは原発近辺ではなく、原発から南におよそ100km離れた茨城県の作物である。
(3)2歳未満の子どもがヨウ素5500ベクレル(15020/kgのホウレンソウ366g)を摂取すると年間線量限度1ミリシーベルトに達することになる。5歳の子どもの場合は10000ベクレルで年間線量限度に達する。
汚染は原発から漏出した放射性物質が皮膚や毛髪等に付着して起こる外部被ばくと、食物や水、大気を体内に取り込むことによって起こる内部被ばくとがある。一人の人間が浴びる放射線量を計測し、その健康リスクを評価するには全ての被ばく量(内部被ばくと外部被ばく)を考慮しなければならない。
そのためには汚染が起きた日からの線量が分からないと計測できないが、それらのデータが存在しないし、放出された放射性物質の種類も量もわからないためリスクの評価は難しいとCRIIRADは言う。しかし発表されたデータから推測しても、被災地周辺の住民が直面している危険性は高レベルであり、「汚染は深刻である」と懸念を示している。
CRIIRAD Webサイト http://www.criirad.org
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