2011年04月12日21時27分掲載  無料記事
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核・原子力

田中優氏の話 原発は「必要悪」ではなく、「必要」性がないから単なる「悪」

  社民党福島党首が、この期を「社会変革」のよい機会と捉えて、識者との対話を始めた。その第1回が、田中優氏との対話である。それは、ユーチューブ上で見られる(http://www.youtube.com/watch?v=KhEEwZ7xKyE)。これは、非常に重要で示唆に富んでいる発言なので、是非ご覧になって頂きたいが、その要旨をここに記しておきます。(日刊ベリタ編集部) 
 
(1)現在の震災とそれに端を発する原発/放射能の危機を世の中を変える端緒と捉えよう。原発の危険性は十分に証明されたが、原発は「必要悪」と考えられている。これは間違いである。その理由を下に記すが、その必要性が十分に否定されるならば、原発は「悪」に過ぎなくなる。 
 
(2)原発の代わりに自然エネルギーへ転換することには様々な利点がある。原発は、大規模であるが、その規模に比較して雇用数が少ない。現在、日本が電力供給のための輸入に使っている年間23兆円を自然エネルギー開発に振り向けたら、地域開発、雇用増大に大変な貢献をする。しかも、安全で、電力コストも安い。ドイツでは、このような自然エネルギーを促進した結果、80万人ぐらいの雇用を作り出した。 
 
(3)現在メデイアに登場する広告の最大のスポンサーは電力会社で、そのためにメデイアは原発などに関して十分正確な情報を提供していない。このような事情は今こそ替える好機である。すなわち電力会社による広告業界の専横を禁止する。 
 
(4)なお原発は、現在55基ほどあるが、その建設は、政府からの助成金(すなわち国民がはらった税)に多く依存している。 
 
(5)自然エネルギー開発に歯止めをかけていることの一つに、送電系統が民間電力企業に握られていることがある。電力供給は、発電、送電、配電するシステムからなる。送電は,いわば、道路である。道路は普通公のものであり、送電も公有にすべきである。例えば、北海道で、風力発電を開発しようとしても,北海道電力が、送電系統を利用させないという足かせがある。送電システムが公有になればそのような邪魔はなくなる。 
 
(6)さて問題は、電力の需要である。まず、総電力需要の4分の3は、家庭以外の事業所のものである。また、ピーク時の使用電力の91%は事業所。家庭でいかに節電しても、あまり影響がない。電力需要のピークは夏、気温31度以上になる真昼の2−3時間であることは、わかっているし、気温の予想はかなり確実である。したがって、この間の節電を事業所に知らせ,協力してもらうことは困難ではないし、事業所も計画的に対処できる。 
 家庭の単位電気料金は、使用量と共に上がる(だから夏の最中は高くなりー節電を誘導しようというのだが、家庭使用料はたかがしれている)。一方、事業所の単位電力料金は、逆に使用量に従って安くなる。これでは、節電をするメリットがない。そのため、やろうとすれば出来る省エネ製品を導入していない。 
 
(7)現在の日本の電力会社の年間稼働率は、全体で約55−60%ぐらいと低い。ヨーロッパでは平均70数%であるから、稼働率を少し上げるだけで、上昇する需要を賄える。 
 
(8)以上のような事情を考慮すれば、原発は必要ないことがわかる。したがって、原発は「必要悪」ではなく、「悪」にすぎない。 


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