2011年04月16日01時03分掲載
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東日本大震災
【たんぽぽ舎原発情報】 高レベル廃液をどうするつもりか? 提言−使用済燃料輸送船を使え! 山崎久隆
4月7日、韓国の金首相は日本の対応について国会での質問に答え「日本に無能と言いたい」と発言したという。これは低レベル廃液を海中投棄したことに関連してのものと言われているが、枝野官房長官は「真偽を確認中」とし松本外相は「そのような主旨のコメントでは無いことを確認した」と、問題視しないのだそうだ。しかし本当のことを言われて問題視するもしないも、それ以前に事前の説明も通報も無しに放射性廃液を太平洋に放出する日本の、どこに反論できる立場があるというのだろう。事実、無能では無いか。
さらに連日無能さをさらけ出しているのが、汚染水処理問題。
現在、太平洋に排出してしまった「低レベル放射性廃液」の入っていた「集中廃棄物処理施設」に送るつもりだそうだが、この施設に「毎時1シーベルト」(数時間で致死量に達するという恐るべき線量)という高レベル廃液を収納するような能力があるとは思えない。
低レベル廃液を処理する設備には低レベルの、高レベル廃液を処理する設備にはそれ相応の能力で設計施工をするのが常識で、低レベルしか入れない設備を高レベルでも使えるだけの防護をするのはオーバーデザインなので普通は行わない。
従って中に入れてしまえば、接近不可能な線量のγ線を放出し、漏えいが見つかっても修理さえ出来ないだろう。
そのうえ高レベル廃液を「メガフロートに入れる」というとんでもない案が出ている。このメガフロートがどんな構造物なのか定かでは無いが、少なくても廃液タンクとして使えるような密封性があるとは考えられない。メガフロートとして浮かんでいる分には多少の隙間が喫水線上にあっても問題にはならない。しかし高レベ
ル廃液タンクにはいかなる隙間も許されないのだが、そんな厳しい条件を満たすとは到底思えない。思いつきにしても質が悪すぎる。
仮にこんなものに高レベル廃液を入れて、津波に襲われたらどうなるか。2、3m程度でも岸壁にたたきつけられ、ばらばらになって沈没し廃液を全量海中に放出してしまうだろう。
ではどういうものが良いのか。
例えば世界中にある使用済燃料輸送船を全て持ってきたらどうか。使用済燃料輸送船はダブルハル構造であり、さらにもともと使用済燃料輸送容器という高レベル放射性物質を格納する容器を搭載する目的で建造されているので、タンカーのような単なる沈没防止機構としてのダブルハル構造では無く放射性物質の放出を防止するための構造となっている。
また、火災に対する消防・防火機能、放射性物質の漏えい監視機能、さらに放射線測定や防護設備が完備し、対テロ用機関銃も装備している。機関銃はこの際役に立たないが、それ以外はまさしく今回のような放射性物質の格納にもってこいの船だ。おそらく世界中でこれほど高レベル委廃棄物を格納するのに適した船舶は存在しないだろう。
これに放射性物質の回収設備を横付けすれば、そのまま福島第一原発の真ん前で放射性廃液からの回収作業も可能だ。津波に対しても沖合に避難するなどで被災を避けることが出来る。いまからでも世界中の使用済燃料輸送船を集めて、廃液処理に当たるべきだ。
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