2011年05月07日01時31分掲載
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東日本大震災
政府はグリーンピースの領海内調査を拒否、東電調査では87000ベクレル/kgの高濃度セシウム検出
福島第一原子力発電所事故による高濃度の放射能汚染水が海に流された。国際環境NGOグリーンピースは海洋汚染の実態を調査するため「虹の戦士号」を日本に送った。同団体は27日から調査を始めたいと、船籍国であるオランダ政府から日本政府に対し領海内の海洋放射線汚染調査の協力要請書を送付してもらったが、日本政府からは領海内の調査許可は下りず、29日に「領海外(沖合約22キロ外)」の調査を許可する旨連絡があった。(上林裕子)
グリーンピースの今回の調査については、グリーンピースジャパンの海洋生態系担当の花岡和佳男氏が事前に福島県南相馬市の桜井市長と話し合っている。同市長も「市民と地域の生活と漁業の復興のめどをたたせるためにも、一刻も早い実態の把握が欠かせない。政府にも調査を要請しているが、第三者機関であるグリーンピースにもぜひ調査を実施してほしい」とのべていたという。
東電が超高レベル汚染水の保管を優先するために集中廃棄物処理施設に入っていた15000トンの「超高レベルよりは低レベルの汚染水」を低レベル汚染水であるとして放出したのは4月4日だ。それ以来、海水の検査をした報告はなかった。
グリーンピースが「領海外の調査許可」を受け取った29日、東電はこの日初めて海底の土壌を採取、その結果を5月3日と5日に発表した。それによると、福島第一原発から北に15キロと南に20キロ地点の沖合3キロで採取した土壌からは1200〜1400ベクレル/kgと、通常の約1000倍のセシウム137が検出された。また、第一原発防波堤内の土壌からは87000ベクレル/kgのセシウムが検出された。
グリーンピースは5月6日、日本政府が許可した領海外でのサンプル採取を終了、来週にも結果を発表するとしている。
今回の件に関しグリーンピースは、「この調査を通じて漁業関係者が東京電力に対し補償を求めるときに必要なデータを集めていきたい」としている。さらに、海洋汚染が国際的な関心事である時に、政治的な判断で領海外だけと制限をつけるべきではなく、国際的な協力のもとにより汚染が心配される領海内の調査を行う必要性を指摘する。
同団体では、日本政府に対しグリーンピースの領海内海洋調査を許可するよう求めるインターネット署名を実施中だ。現在の署名数は約8000、10日までさらに多くの署名を集めたいとしている。
クリック署名は
http://www.greenpeace.org/japan/rainbow?20110429gv
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