2011年05月18日16時27分掲載
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労働問題
関西生コン労組に弾圧 大阪府警、威力業務妨害で13人を逮捕、労働者の団結権を否定
大手ゼネコンを相手に 2010年、139日間のゼネストを行った連帯ユニオン関西地区生コン支部で副委員長以下13人が逮捕されるという事態が起こっている。5月11日朝、テレビカメラを引き連れた大阪府警警備部などが支部事務所や労働組合員宅を襲い、家宅捜査をすると同時に13人という大量逮捕を行ったものだ。(大野和興)
昼のテレビニュースでは、早朝、自宅で逮捕、連行される組合員の姿まで報じられるという世論工作丸見えの演出が行われた.公安警察とマスメディアが一体となっての政治的逮捕劇だったことがわかる。
被疑事実は、昨年5月14日に関西宇部株式会社に対してとりくんだ抗議行動を指して「威力業務妨害」だとしたもの。当時は、生コン価格の引き下げが続き、このままでは大手ゼネコン支配のもとで労働者と中小企業がつぶれしまうという状況下にあり、関西生コン労組は中小企業の事業協同組合を基盤に生コン価格の維持と労働者の賃上げをもとめるトライキの最中だった。
その労働者の行動を威力業務妨害として労働者を逮捕し、家宅捜査を行ったもので、労働者の団結権侵害であることは確実。
11日に続いて5月13日にも連帯労組生コン支部役員・組合員計6名宅にガサ入れがあった。逮捕者は出ていない。「容疑」とされたものは11日と同じ関西宇部・北港工場に対する抗議行動だ。
関西生コン労組関係者によると、警察の嫌がらせで13名は全て接見禁止とされ、10名が大阪市内各所の警察、2名が堺市の警察署に分散監禁されており、残り1人は大阪府の南のはずれの泉大津警察に監禁されているとしている。
関西宇部株式会社はセメントメーカー宇部興産の直系子会社で、3年前から春闘で交わした労働協約の履行をめぐり労働争議が続いている。協定履行を求めた08年7月の抗議行動でも威力業務妨害という口実で2009年2月に刑事弾圧事件がしくまれたことがある。今回はこれに次ぐ2度目の弾圧となる。
関西宇部の木村貴洋代表取締役は今年4月に大阪広域協組理事長に就任したばかり。就任にあたって、「長期ストで失われたゼネコンからの信頼回復に全力でとりくむ」と挨拶した経過がある。長期ストとは、昨年7月〜11月の4カ月間、中小企業と労働者が協力して生コン販売価格の適正化を実現したたたかいを指している。
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