2011年05月19日11時25分掲載  無料記事
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検証・メディア

浜岡原発停止操作もまともにできず炉に海水流入ー 重大事故なのに報道せず―日本のテレビ・新聞はおかしい―  山崎久隆

  津波も来ていないのに、浜岡原発5号機で停止操作中に復水器に海水が大量に400トンも流入し、原子炉にまで回っていたことが、15日になって報道されています。実際の海水流入が起きたのは、14日の停止操作が始まってからすぐの午後4時半ごろだと言われています。 
 
  復水器の中には蒸気が入ってきますが、これを海水で冷やしています。そのための細管が大量に復水器にあります。400トンという異常に大量の海水流入であったということから、3万本以上ある細管の、かなりの数が破断したのでは無いかと思われます。 
 
  その後の停止操作はECCS緊急炉心冷却装置を使って行われたと言うことですが、緊急冷却装置が作動しなかったらどうなったのか、非常に危うい運転状態にあったと思われます。 
 
  このニュース、テレビではテレビ朝日とNHKくらいしか流していません。一体どうなっているのかこの国のメディアは。 
 
  日本経済新聞の記事の書きぶりを見てみましょう。 
「中部電力は15日、浜岡原子力発電所5号機が同日正午すぎ、原子炉内部の温度が100度未満の「冷温停止」と呼ばれる安定状態になったことを明らかにした。政府の停止要請を受けた浜岡原発の停止作業がすべて終了した。」 
 
  海水流入の前に「無事」停止したかの書きぶりに呆れます。 
 だってそんなことはニュースになりません。普通。安全に止まっただけならばこれが冒頭で良いですが実際には重大事故が起きていたのですから。 
 
  次のセンテンス 
「5号機は14日午後1時に運転を停止。その後、冷温停止に向けた作業中に、タービンを回し終えた蒸気を水に戻す「主復水器」の水の純度を示す数値が異常となったため、一時作業を中断した。放射性物質の漏えいはなく、作業を再開し、冷温停止状態となった。」 
 
  この記事までだと何が起きたのか分かりません。まず「何が起きた」から先に書くのが普通でしょう。冷温停止になったことは結果であって、その前にトラブルが起きたのにそのことは後回しとは、恐れ入ります。 
 
「中部電力によると、冷却水に約400トンの海水が混ざった可能性があるが、原子炉の損傷はないとしている。」 
 
  結局事故について触れたのはこれだけです。400トンの海水流入とは重大事故です。記事の重要度から言えばまずこれが先ではないでしょうか。原発震災を経ていてさえもまだ、日本のメディアは安全宣伝にこれつとめている現実に、本当に怒りがわきます。 


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