2011年05月26日11時23分掲載
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アジア
「国連は東ティモールの主権を侵害」と首相が激怒 国連側は否定に躍起
5月20日に主権回復(独立)から9周年を迎えた東ティモールで、同国の治安維持や行政運営の支援にあたる東ティモール国連ミッション(UNMIT)が作成した報告書が流出、その中でシャナナ・グスマン首相が権力の集中を図ろうとしていると分析していたことがわかった。これに対してグスマン首相は、「個人攻撃とみなす。国連は東ティモールの主権を踏みにじっている」と激怒、国連に反撃をおこなった。(クアラルンプール=和田等)
UNMITは、「当該文書はUNMITの公式文書ではなく、UNMITの公式見解を反映したものではない。東ティモールの状況に関する多様な査定のひとつにしかすぎない」として、首相の怒りをなだめるのに躍起になっている。
オーストラリアの公共放送ABCによれば、問題の報告書は東ティモールの政府、司法機関に多くの弱点があることを指摘し、首相が権力の集中を図り、議会や司法の役割を侵害する恐れがあるとの見方を提示。これに対してグスマン首相は、自身が民主主義の拡充に向けて引き続き取り組んでいるし、司法に介入したことはないと反論、国連に対する信頼を裏切るような報告書であると猛反発を示した。
さらに主権回復9周年記念の演説で首相は、「2000年から08年にかけて国際社会は東ティモールに対して80億ドル(1600億円強)を注ぎこんだが、実質的な発展はみられず、さらなる貧困され作り出された」と、国連が何らの成果をあげていないとの見方を表明。「UNMITの専門家は、そのサービスをイラクやアフガニスタン、パキスタンなどの紛争地帯の状況を改善させることに提供し、イエメンやシリア、リビアなど中東地域の民主主義の支援に注ぐべきである」と、「逆提案」した。
UNMITの下で働く東ティモール人専門家についても「他人のお金を引き出すことに力を入れているようだが、それは精神的・知的植民地主義とでもいうべきものである。自分たちの主権を他人に売り渡すようなことをすべきではない」と指弾。返す刀で「我が国で働く『大物専門家』は、14兆5000億ドルにも達する米国の債務の解消に向け、オバマ大統領とともに取り組むべきだし、2009年の全世界に打撃を与えた金融機関や銀行の大規模な不正の是正に取り組んで、国連をはじめとする大きな国際機関の改革にその経験や専門技能を生かすべきではないか」と問題提起している。
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