2011年05月27日14時01分掲載
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労働問題
「下水汚泥から高濃度の放射能」 被曝の危険にさらされる運輸労働者
各地の下水汚泥から高濃度の放射能が検出されている。5月1日に福島県の県中浄化センター(郡山市)で処理された下水汚泥からは放射性セシウムが1kgあたり2万6400ベクレルと基準の260倍を超える数値が出てきた。運輸・建設関係の労働者でつくる全日本建設運輸連帯労組は汚染されたガレキや汚泥、土壌を運ぶトラックやダンプカーのドライバーの被曝を防止する仕組みをつくれと政府に要求している。(日刊ベリタ編集部)
5月10日のは栃木県が、下水道資源化工場で採取した焼却灰(汚泥を焼却処理したリサイクル資源)から規制基準の320倍(基準は1kg当たり100ベクレル)の放射能が検出されたと発表した。そのほか福島第一原発から遠く離れた下水処理場から次々を汚染が出ている。
これらの汚泥を原料としたいわゆるリサイクル資源は、セメントメーカーが大量に受け入れ、エコセメントとして再利用している。セメントメーカーはこの分野を「静脈産業」という名で位置づけ、大きな収益源となっている。
問題は、こうした汚染汚泥の積み込み、荷降ろしなどの過程でドライバーが被曝しないかということ。汚泥や焼却灰からの直接の被曝と同時に、積荷の粉じんを口は鼻から吸いこんだときの体内被曝の危険性もある。
同連帯労組は5月10日に国交、厚生労働、経済産業、文科省などと交渉した結果判明したのは、ドライバーを被曝から守る仕組みも制度も存在しないということだった。連帯労組は当面、(1)下水処理場の積み込み施設、セメント工場の受け入れ施設、運搬車両の放射線量の測定、(2)下水汚泥、ガレキなどを含むトラック労働の安全対策確立を、政府、セメントメーカー、輸送業者に求めていく。
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