2011年05月29日09時40分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎原発情報】「時間の犯罪」を許せない 山崎久隆
東電に、タービン建屋などの水のサンプリングを要請し、放射性物質の種類を正確に公表するよう要請したら、「作業員の被曝を避けるためにサンプリングができない」と断られました。ところが一方では作業員の内部被曝を全く調べていなかったことが明らかになっています。つまり、本当に作業員の健康を心配していたのでは無く、恐ろしい量の放射性物質を海や空に放出し続けている実態を知られたくないために計っていなかったのです。
◆時間の犯罪」を実行している東京電力と菅内閣、もうだめ
別に作業員に実施させる必要はありません。実施主体は原子力開発機構で良いのです。どうしてそういう大事なことが実行されないのかと思っていたら、作業員の被曝調査さえ全くしていなかったことがここにきてはっきりしました。
理由は簡単です。プルトニウムやストロンチウムなどは別としても、ヨウ素やセシウムの体内半減期(生物学的半減期)は物理的半減期に比べて短いため、時間と共に急激に減衰し、後々測定しても見つからないことを知っているからです。3ヶ月くらいたってからおもむろに測定すれば、ほとんど検出限界以下になっていることでしょう。
そのため誰もが被曝をした事実を知り得ないわけです。時間の犯罪と言ってもいいでしょう。内部被曝が分からない以上、その後にがんや白血病を引き起こしても因果関係は無いと言い張れます。さらにプルトニウムやストロンチウムはバイオアッセイ法で無ければ内部被曝を調べることも困難です。
他の原発に仕事に行ったら、その原発でおこなったチェックにひっかかったなど、ほとんど常識外の話です。これは国の犯罪をそのまま表しています。人の命を守るという当たり前のことが、この国の政府の中にはどうやら存在しない価値観らしいです。
原発が大事か、人間が大事か、はっきりさせようではありませんか。
(毎日新聞 2011.5.21朝刊の記事を読んで)
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