2011年06月07日22時05分掲載
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農と食
「主要作物は20年で価格が2倍になるだろう」
世界で反貧困の活動を続けている国際組織オックスファム(Oxfam International)は以下のようなレポートを発表した。
トウモロコシのような主要作物の価格は今後20年間で2倍に上昇するだろう。理由の半分は気候変動が農業に与える打撃にある。さらに農業生産の伸び率が減少に転じていることも関係している。世界の平均的な農業生産の伸び率は90年から半減しているのだ。2050年の世界の食糧需要は今より70%増加すると推測されるが、供給能力の伸びは低下している。
オックスファムのエグゼクティブディレクター、ジェレミー・ホッブス氏は「G20は5億にのぼる発展途上国の小規模農場に投資をして生産を支えるべきだ」という。「こうした小農場の発展が生産の増加に結びつく。そのためには、小規模農場が気候変動に適応できるようにしなくてはならない」という。
オックスファムはこのレポートの中で、インドでは1990年から2005年までに経済規模は2倍に増加したが、飢餓人口は6500万人増加したと指摘した。これは繁栄から取り残された農村の人々であり、かつて農村で機能していた貧困者を救済する枠組みが消滅したからだという。
また、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland)、バンジ(Bunge)、カーギル(Cargill)の多国籍企業3社を特に批判している。これら3社が世界の穀物のおよそ9割をコントロールしているという。彼らによって穀物価格は跳ね上がり、彼らはそれによって大きな利益をえているという。世界の穀物価格が急上昇した2008年の最初の四半期、カーギルの利益は86%上昇した。こうした一部の企業が利益を得て世界の食糧需給が混乱するような事態を将来避けなければならない。ホッブス氏は世界中の人間より、一部の企業の利益を優先するこうした国々の政府を批判している。
http://www.oxfam.org/en/pressroom/pressrelease/2011-05-31/broken-food-system-environmental-crises-spell-hunger-millions
■オックスファムインターナショナル
世界98か国をまたにかけ、15の組織が貧困と不正の是正を目的に活動している。1995年にNGOとして発足した。しかし、起源をたどれば第二次大戦中の1942年に立ち上がった「オックスフォード飢餓救済委員会」にある。当時、ドイツ軍占領下のギリシアには飢えた女性や子供が多数存在した。彼らに向けて食糧を調達して輸送したのである。
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