2011年06月15日01時13分掲載  無料記事
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米国

FBIが捜査マニュアルを改訂 アメリカでも監視体制が強まる

  インターナショナルヘラルドトリビューン(6月14日)によると、FBIはこのたび捜査マニュアルを改訂する。マニュアルは「Domestic Investigation and Operations Guide 」と称する。過去10年にわたる「テロとの戦い」でFBIは捜査上のフリーハンドを拡大してきたが、今回の改訂でさらにメリットを得る。最近、FBIはプライバシーを訴える市民団体などを集めてマニュアルの変更についてブリーフィングを行った。 
 
  新マニュアルになると、確たる証拠がなくてもFBIが怪しいと判断すれば、家庭ごみを調べることができるようになる。また個人のデータベースにアクセスしたり、監視チームを組織して生活を精査することもできるようになる。 
 
  FBIのブリーフィングを聞いた元FBI捜査官で今はthe American Civil Liberties Union (ACLU)の弁護士をしているMichael German氏はこう危惧を述べた。 
 
  「新マニュアルになれば、捜査官が私的な目的で不正な捜査をしてもそれを探知したり、防いだりすることが難しくなる」 
 
  今までのマニュアルならたとえばデータベースにアクセスする前に質疑応答=「inquiry」のセッションを開かなければならなかった。そこで行われた質疑応答をもとに、なぜデータベースにアクセスを認める決定をしたか、記録を残すことを求めらていた。 
 
  また、たとえばこれまで家庭ごみを調べる場合にはまず予備捜査=「preiliminary investigation」が義務付けられており、その人物が犯罪行為を行っていると疑うに足る一定の事実が要求された。ところが新マニュアルでは予備捜査が必要なくなり、ただ1つの評価=「assessment」だけで足りるようになる。 
  その1つの「評価」とはFBIが目をつけたターゲットの人物が'potential informant'と評価されればよい。つまり、「情報提供者になる可能性がある」とFBIが判断すれば、その人物の家庭ごみを調べたりしてもよいことになる。今回のマニュアルの改訂で目立つのはこうした末端の捜査プロセスの変更ようだ。これまで要求されてきたさまざまな縛りがなくなることになる。 
 
■the American Civil Liverties Union (ACLU) 
 アメリカ憲法が保障する人権を守るための市民組織。50万人以上の会員を擁し、スタッフ弁護士だけで約200人、ボランティア弁護士は数千人を数える。その起源はロシア革命後の1919年から1920年にかけて、共産主義革命を恐れた米政府が捜査令状なしで「ラディカル」と呼ばれる人々数千人を逮捕したときにさかのぼる。この時、市民的自由と人権への弾圧に抗するために作られた組織がACLUである。現在、代表はブルックリンのロースクールで憲法と刑事訴訟手続きを教えているSusan N.Hermanさん。 
http://www.aclu.org/ 


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