2011年06月17日01時15分掲載
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コラム
教育と金と宗教 鬼塚忠
以前メルマガでもお伝えしたように 最近、凝っているのが海外の新聞を読むこと。私は毎朝、中国の人民日報と韓国の朝鮮日報を読んでいる。中国と韓国のサイトでも日本語で毎日無料で読むことができる。
朝鮮日報 http://www.chosunonline.com/
人民日報 http://j.people.com.cn/home.html
私のいる出版業界、面白いことを言う人間にこそ価値がある、と思いませんか。大衆が読む日本の新聞だけでは、面白い情報にそう簡単には巡り合えない。ひいては人と同じ情報源だけでは、人を惹きつける発想を得ることができないのだ。
で、最近見つけた興味深い記事も海外のサイトだった。
5月13日のニューヨークタイムスの記事。
http://economix.blogs.nytimes.com/2011/05/13/faith-education-and-income/?scp=1&sq=Anglicans20Presbyterian&st=cse
実を言うと、これは石角莞爾さんからの情報。石角さんは京都生まれの生粋の日本人でありながら、ユダヤ教へ改宗し、ユダヤ人となった人。仕事は国際弁護士で世界を駆け回っている。著書「お金とユダヤ人」「日本人の知らないユダヤ人」「日本国債暴落のシナリオ」を弊社がプロデュースさせていただいた。
学歴と宗教と収入の関係の調査によると、学歴、収入の両方とも、ほぼ上位の宗教は決まっているのだ。上位5つは、
ヒンズー
ユダヤ教改革派
プロテストタント
ユダヤ教保守派
イギリス国教会
これらの宗教を信じる人が高い教育を受け、高い収入を得ている。私と大多数の日本人が属すると思われる「無宗教(Secular)」は金持ちの部類には入っていない。また、最上位と最下位では実に16倍もの差があるのだ。上記の調査によれば、明らかに宗教は教育と収入に関連性がある。
この調査の面白いところは、最貧国ともいえるインドが属するヒンズー教徒の教育、収入は高く、豊かな日本が属する無宗教のそれが低いということ。次の数をしめる仏教徒もランキング上位にでてこない。これは、平等な条件で競争をした場合、日本人は金持ちになりにくいということだろうか。
ではなぜ、貧しいはずの無宗教が大半にもかかわらず、日本人はこれまで金持ちでいられたのか。
決して日本人が勤勉だから日本は豊かになった、とは思わない。それは、ほとんど偶然的な要因が主だったのではないだろうか。たまたま、朝鮮戦争で特需があったこと、西側に属したことで車を多数アメリカで売ることができたこと、島国であるため治安がよかったこと、国防費が比較的かからなかったこと。偶然の要因が重なった結果だったのだろう。
そう考えると、決して日本人が勤勉だから今後も金持ちでいつづける、ということは言えないのだ。今ある日本の富が、幻であるような気がしてならない。
鬼塚忠
作家の代理人 アップルシード・エージェンシー代表
著作「ザ・エージェント」(ランダムハウス講談社)他多数
http://www.appleseed.co.jp/
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