2011年08月03日13時28分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎原発情報】殺人的な放射能10シーベルトが放出された謎を解く 山崎久隆
東電は8月1日、福島第一原発1、2号機主排気筒の地面近くで、これまでで最高の1時間当たり1万ミリ・シーベルト(10シーベルト)以上の放射線を検出したと発表した。この場に数分止まれば即死する値だ。実際作業員はこの場で4ミリシーベルト被ばくしている。松本純一・原子力立地本部長代理は「3月12日に1号機のベント(排気)を行った時に放出された放射性物質が主排気筒内部に付着している可能性がある」としている。これが事実だとしたら、排気筒内にあるのは、溶融した燃料そのものである可能性がある。(「地震と原発事故情報」その135から)
既に1号機は3月11日から12日にかけて炉心溶融を引き起こし、おそらくベント時には圧力容器底部を貫通した燃料デブリは格納容器に落下していて、そのタイミングでベントを行ったために減圧と同時に溶けた燃料要素が吸引されて格納容器からダクトを通じて排気筒にはき出されたと思われる。
これはチェルノブイリ原発事故のように溶融燃料そのものが大気放出されたと同じであり、爆発ではないものの核燃料が環境に大量放出されたことを意味するのではないか。
これまでは、ベントをしても水を通して行う、または燃料が圧力容器内にあるうちにベントをしたように時系列を発表してきたが、ベント時に希ガスやヨウ素だけでなくそれ以外の溶融燃料要素までも大気中に吹き飛ばしてしまったことが明らかになった。
その中には、ウラン、プルトニウム、セリウム、ジルコニウム、ストロンチウムなどとウエットベントならば出ない核種も含まれていたであろう。α、β線を出す危険な核種が大量放出されたことが、今回の10シーベルトという殺人的線量が表しているのだろうと思われる。
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