2011年08月23日21時53分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】源八おじさんの原子力映画ガイド
◆ 地震と原発事故情報 その150 ◆
★1.源八おじさんの原子力映画ガイド
映画・『チャイナシンドローム』、『黒い雨』、『ゴジラvsビオランテ』、『原子力戦争』…など
★2.原発推進官庁の経済産業省も文部科学省も東京電力の電気を買っていません−何年も前から独立電気事業者から電気を買っています
★3.事故情報編集担当者より3題
★4.泊原発3号機2009年は条件付き合格!?=データ改ざん
保安院の子会社=安全基盤機構を元検査員が告発
「上司の記録削除指示」は不当だ、証拠隠しだ
★1.源八おじさんの原子力映画ガイド
映画・『チャイナシンドローム』、『黒い雨』、『ゴジラvsビオランテ』、『原子力戦争』…など
源八おじさん
○ 核、原子力、原爆、原発、放射能、被爆などに関する映画は、これまでに数多く作られてきました。福島原発事故以降、それらの映画が注目を浴びるようになり、映画祭や特集上映なども活発に行われているようです。
『チャイナシンドローム』(1979年)のような社会派作品や鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー作品群などはもちろんですが、エンタテインメント的映画の中にも、原子力や放射能の危険性を扱った作品はたくさんあります。そんな映画を楽しみなら、原子力について考えてみてはいかがでしょうか。
たくさんありすぎて、どれから観たらいいかわからないというあなた。例えば、今年亡くなられた方の追悼を込めて、作品を選んでみるのはどうでしょう。
まず、忘れられないのは、元キャンディーズの田中好子さんです。田中さんの代表作といえば、今村昌平監督作品『黒い雨』(1989年)が真っ先に思い浮かびます。井伏鱒二の原作で、被曝を扱った名作なので、ご覧になった方も多いと思います。田中さんは、同じ時期にもう一本、原子力に関係する映画に出演されています。それは『ゴジラvsビオランテ』(1989年)です。
『ゴジラ』シリーズの17本目の作品で、長いゴジラの歴史の中での評価はあまり高くありませんが、ゴジラという存在に対し、科学でコントロールしようとする人間たちの無力感がよく描かれている作品だと思います。核と共存できますかという問いには、できると答える人はいると思います。でも、ゴジラと共存できますかと問われたら、多くの人は共存したいとは思わないでしょう。
ゴジラ映画の優れている点は、核という漠然とした脅威を、ゴジラという具体的脅威にして描いていることだと思います。もちろん、荒唐無稽な怪獣映画ですから、ツッコミどころもありますが、あまり目くじらを立てずに楽しみましょう。ゴジラが若狭湾の原発群を襲うかも・・・いう展開もスリリングです。
この映画が制作されたのは、1989年。つまり、チェルノブイリ事故以後、最初に制作されたゴジラ映画ということになります。福島事故を起こしてしまった今、もう一度、観直す価値はあるのではないでしょうか。
○ さて、震災後に亡くなられた方で、もう一人忘れられないのは、原田芳雄さんです。原田さんは、黒木和雄監督作品の常連だったこともあり、原子力関係の映画にたくさん出演されています。その中で1本を選ぶとしたら、やはり黒木監督の『原子力戦争』(1978年)でしょうか。田原総一朗原作とありますが、最近復刊された田原総一朗著『原子力戦争』(ちくま文庫)とは、大きく内容は異なっています。黒木監督は、田原原作に着想を得て、新たなドラマを作ったのでしょう。
映画では、原発のある町で起きた不可解な事件をめぐって、原発の恐ろしさが描かれています。この映画が制作されたのが、1978年。つまり『チャイナシンドローム』の1年前です。『チャイナシンドローム』よりも先に原発事故を題材にしたということは、まさに時代を先取りしていたといえるでしょう。
実際、1年後にスリーマイル島原発事故が起きました。それだけでも凄いことですが、それ以上に恐ろしさを感じるのは、この映画が原発周辺に起こる不可解な殺人を描いていることです。実際にそういうことがあったのかどうかは知りません。
○ その後、現実には、もんじゅ西村事件や、東電OL殺人事件など、未だに解決されていない不可解な事件が原発の周辺で起こっています。そんな原発のいかがわしさを、30年以上も前に鋭くえぐっていたのです。この映画の舞台は、ドラマの中では特定されていませんが、撮影は福島原発周辺で行われています。
実際に主演の原田さんが福島原発に入ろうとする場面がゲリラ的に撮影されていて、その部分だけドキュメンタリータッチになっています。今こそ多くの人に観ていただきたい映画ですが、現在、DVDにはなっていないようです。過去に、ビデオソフトにはなったようですが、内容が内容なだけに、日本の地上波テレビで放送されることはまずなく、事実上の封印映画になりつつあるようで
す。もし機会がありましたら、ご覧になることをお勧めいたします。たんぽぽ舎です。
★2.原発推進官庁の経済産業省も文部科学省も東京電力の電気を買っていません−何年も前から独立電気事業者から電気を買っています
上記の事も含めて、『自治体の電気料金を安くする方法教えます』 2011年6月29日講演−大沢豊立川市議とむかさのり子元松戸市市議の講演の 中味を収録したDVDができました。オススメです。主催はスペースたんぽぽ。1枚1,000円+送料80円です。
★3.事故情報編集担当者より3題 柳田真
イ.デモ・デビューしたい-2人の女性からの相談
8月19日(金)2人の女性がたんぽぽ舎にみえた。今後、4Fの「スペースたんぽぽ」(60畳)を借りて、自分たちの催しを開きたいので、“どんな会場なのか”実物を見学したい、として。2人とも福島第一原発事故と放射能にとても怒ってみえて、デモ・デビューしたいとの相談も合わせて受けた。(実は、デモ参加はゼロとのこと) 今の世相に怒ってる。黙っていられない、何かしたいとの想いを熱烈に述べられた。3・11事故後、地殻変動が起きていると改めて感じた。
ロ.初めてデモに参加した人をフォロー(サポート)する会議
8月16日(火)「スペースたんぽぽ」で開かれた。デモに初参加の人10数人を含めて25名が参加、話の内容も全参加者がそれぞれ自分の声で語り、盛り上がった。午後9時に終わらず、9時40分まで続いた。内容も濃い話し合いだったので、最近のデモへの弾圧の件もあり、今後、その中味を伝え、また深めていきたいもの。
ハ.8/18ストレステストはいんちきだ学習会
8月18日(木)開かれた(参加者70名)。たんぽぽ舎山崎久隆さんの鋭い分析(ストレステストのいんちき性批判)と、日本消費者連盟の真下俊樹さんの欧州緑の党の分析・批判文(日本では初めての翻訳)といくつかの紹介。おそらくストレステストの総合的批判としては、初めてに近いものと思う。当日の内容を記録したDVD(約2時間30分)が1週間ほどで完成します。
(1枚1000円+送料80円)オススメです。
★4.泊原発3号機2009年は条件付き合格!?=データ改ざん
保安院の子会社=安全基盤機構を元検査員が告発
「上司の記録削除指示」は不当だ、証拠隠しだ
○東京電力福島第一原発の事故から五カ月以上が過ぎた。この間に政府や電力会社が進めた原子力施策のいいかげんさに気付いた人も多いはずだ。そんな折、そもそも原発事故を本気で防ぐ気があるのか疑いたくなる事態が判明した。独立行政法人「原子力安全基盤機構(東京都港区)」の元検査院が北海道電力泊原発3号機の検査で問題点を指摘したのに対し、上司が記録の”改ざん”を指示したとい
うのだ。元検査院が実名で告発する。「仕事に対するモラル違反はできないと思った。あえてドンキホーテになろうと決意した」
原発検査の杜撰さを語る決意をした理由をこう語るのは、原子力安全基盤機構(JNES)の元検査員、藤原節男さん(62)。(中略)
○原子力安全基盤機構6人の理事・監事のうち、旧通産省(現在の経済産業省)OBが3人を占める。実際には原子力安全・保安院の子会社のような存在で、全国にある原発検査の実行部隊といえる存在だ。
藤原さんがどうしても納得できない出来事は2009年3月4日と5日、北海道電力が建設を進めていた泊原発3号機に対する使用前検査の実施中に起きた。
減速材温度係数測定と呼ばれる検査だったが、正常だとマイナスとなるべき検査の係数が初日はプラスを示した。検査でマイナスにならないと、最悪の場合、原子炉が暴走する危険性がある。翌日は炉内に制御棒を挿入したこともありマイナスとなったが、藤原さんは二日間の検査結果から原子炉運転を条件付き合格として上司に報告した。
ところが、上司の反応は意外なものだった。「これはまずい。初日のデータを削除するように」。これに藤原さんは抵抗する。(中略)
○上司の指示は不問、藤原さんのボーナス減、再雇用本人のみされず(差別)
2010年3月、退職を迎えた藤原さんに対し、さらに追い打ちをかけるような仕打ちが待っていた。機構への再雇用を希望した中で、藤原さん一人だけが再雇用を認められなかった。
<杜撰な検査後を絶たず>
原子力安全基盤機構による検査の杜撰さは、藤原さんが告発した事例にとどまらない。2009年から10年にかけて関西電力大飯原発3号機に対し実施した定期検査でも、蒸気タービンの配管一本を検査してなかったことがつい最近発覚したばかり。
連の機構の対応に対し、藤原さんは昨年八月、再雇用の地位確認と慰謝料など約2800万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。裁判では原発の安全性確保のため内部告発の重要性も訴えるつもりだ。(中略)
○デスクメモ―原子力の「安全神話」は、もともとウソにウソを重ねた虚像。報告書の改ざんなど今さら驚きもしないぐらいだ。その安全神話を前提とせずに、許容できる原発などあるものだろうか。事故は起きるかもしれず、起きれば対処の手段すらない。すべてがわかった。この危険に見合う国益などあるのか。(充)
(中略)(東京新聞8月22日より抜粋)
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