2011年09月19日15時01分掲載
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欧州
仏大統領選、社会党候補のテレビ討論会を500万人が視聴 左派最強候補選出めざす
生活が不安だから、政治が見えないから、より働いてもより儲からないから――。フランス国民のサルコジ政権への不満は高まる一方だ。それを裏づけるように、2012年の大統領選挙の社会党候補者6人による初のテレビ討論会は、3時間を越える政治番組にもかかわらず500万人という驚異的な視聴者を集めることに成功した。(パリ=飛田正夫)
討論会は、同党候補者のそれぞれの主張を国民全員に知ってもらい政治の民主化をはかろうという初の試みで、16日夜に国営放送テレビA2で放映された。パリの町のカフェなどにも視聴者が深夜まで溢れた。
6人の候補者は質の高い論議の中にも内輪もめの落とし穴に陥ることなく、反サルコジ、左派連帯の主張を展開した。10月9日には、社会党員だけでなくフランス人全員が参加できる公開された選挙が予定され、サルコジに勝てる最強の社会党候補者が選出される。
筆者(飛田)も最後まで興味深く観戦した。第一印象は6人の候補者はいずれもやる気十分だということだ。誰が選ばれても他の5人が支援する連帯意識がかなり強い。とくに若手のアルノー・モンブールとエマニエル・ヴァルスの2人は思想的には社会党内の左右両極を代表する位置にあるのが鮮明化された。その中間にフランソワ・オランド社会党前書記長とマルチーヌ・オブリ社会党書記長がいるという感じが強まった。
テレビ討論会に出演したのは、フランソワ・オランド党前書記長、マルチーヌ・オブリ党書記長、セゴレーヌ・ロワイヤル議員(2007年の元大統領候補)、エマニエル・ヴァルス議員、アルノー・モンブール氏(セーヌ・エ・ロワール地方の議員、それに社会党寄り左派急進党議長のジャン・ミッシェル・バイレ氏。
他党のバイル氏が出演しているのは、社会党の予選候補に共産党や欧州エコロジー・緑の党などからの左派候補も受け入れる姿勢を示すもので、社会党は他党のまねできないものだと宣伝している。
討論会でのいくつかの対立点としては、ヴァルス議員とモンブール議員とが国際通貨基金(IMF)前専務理事ドミニク・ストロスカーン氏を社会党としてどう扱うかで見解が対立した。モンブールは支持できないと言明。ヴァルスはストラスカンは友人であると話した。これがそのまま社会党内における左右両極の距離を表している。
原子力発電問題では、対立点がオランドとオブリで明解になった。オランドは電力の原発依存度を現在の75%から2025年には50%に減少させるとしたが原発廃止の宣言はしなかった。オブリは目標を設定して、できるだけ短い期間で原発廃止にもっていきたいと発言した。
エクスプレス誌はオブリの支持者を追って深夜のパリのカフェに集まってテレビ観戦する人々を紹介している。
「オブリは次第にサルコジを負かす能力を発揮してきている」とか、「オランドは少し神経質だ」などといった観衆の言葉を拾って伝えた。
サルコジ大統領はテレビ討論会について、A2で、「リビアから夜遅く帰ってきたのでテレビは見てない」と答えた。
民主運動(モデム)のフランソワ・バイル議長は、社会党候補者各氏の提案について、「非常に抽象的で、漠然としたもの」、「多くのフランス人は満足できなかったのではないか」といっている。
社会党のジャン・クルストフ・カンバデリ議員は、「テレビ(討論会)は、左派と社会党にとって良かった」「オランド氏はオブリさんよりも良くなかった。間違いなくオブリさんが一番だった」と評価している。
【参考記事】
http://www.lefigaro.fr/politique/2011/09/14/01002-20110914ARTFIG00767-primaire-ps-debat-a-risques-entre-les-pretendants.php
http://www.lexpress.fr/actualite/politique/debat-primaire-ps-les-aubrystes-reprennent-confiance_1030770.html?xtor=x!
http://www.leparisien.fr/election-presidentielle-2012/debat-ps-c-est-qui-veut-depenser-plus-ironise-sarkozy-16-09-2011-1610855.php
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