2011年09月19日16時22分掲載
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欧州
パリの散歩道 16 ついに個展会場をゲット
パリの女性画家、ヴィルジニー・ブリエン(Virginie Brien)さんを昨年取材した時は「個展を開きたいけど、なかなかギャラリーで開くのが難しい」と語っていた。しかし、この秋、彼女はパリ17区のギャラリーで女性写真家とともに合同展を開くことになった。
ブリエンさんはパリで今を生きる女性たちの葛藤を描いてきた。華麗な色はほとんど使わない。薄暗い闇の中に孤立し、涙を流している女たちが描かれている。ファッション誌のパリジェンヌたちの華やかな印象とまったく逆だから驚かざるをえない。
たとえば連作「孤独」(右の欄の写真)の1枚である。黒服の女たちは狭い個室に閉じ込められている。頭は上から降りてくる綱でしっかり固定されている。空間的にも、思考的にも自由ではない。ブリエンさんはまじめなのだが、僕はこのパリジェンヌたちのすさまじい描写に最初は笑ってしまったほどだ。そして、「孤独」の黒服の女たちは小さな箱の中に閉じ込められ、扉が閉ざされて外から見えなくなってしまう。横のつながりはなく、あるのは垂直に伸びる綱だけだ。今までこのようなパリを描いた人がいただろうか。
ブリエンさんによると、パリジェンヌたちは様々な悩みを抱えている。しかも、近年政治がますますその生活を脅かしている。昔パリにあった心の余裕や上品さといったものも失われてきた。こうした中、ブリエンさんは自分の姿を描くことで新たな生を切り開こうとしているようだ。
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今回の合同展は17区、ベルニエ通りの画廊エディットクレア(Editcrea)で10月13日から開催される。相方は女性写真家のモニク・ルラン(Monique Le Lann)さん。フェイスブックには以下の写真が紹介されている。ちなみに、これは「結婚」をテーマにしたものだ。新婚さんたちのヴィヴィッドな姿が映し出されている。
http://fr-fr.facebook.com/media/set/?set=a.205550626157332.53875.205548619490866
ブリエンさんによれば一般にパリの画廊主は外国人アーチストを優先する傾向がある。彼女は昨年の今時分、パリの青空市に出展した。これは画廊アルシマ(Arcima)が個展の会場探しに苦労しているアーチストたちに展示の場を与える試みだった。その後、ブリエンさんは画廊探しの傍ら、コツコツ絵を描き続けてきた。来月の個展のオープニングが迫った今はプレッシャーを感じながら、絵を描いているという。「何があっても絵はやめません」と去年の取材では語っていた。
■画廊Editcreaの場所は13、rue Vernier 15017 Paris
10月13日は午後6時からカクテルつきのVernisage(オープニング)。
■「パリの芸術家天国」(青空絵画市)
この秋も10月1日から3日までモーベール広場にて開催されます。以下の記事は去年の秋の記事ですが、参考まで。
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