2011年10月12日14時54分掲載  無料記事
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コラム

フランス雑誌が入ってこなかった日々  村上良太

  2〜3年前のことだが、ルモンド紙やヌーベルオプセルバトゥール誌、あるいはルモンドディプロマティークなどのフランスの媒体が書店の洋書売り場から一斉に消えたことがあった。その原因は輸入代理店が破たんしたからで、業務が再開されるまでの期間は何カ月にも及んだ。一国を代表する新聞・雑誌も日本の輸入代理店1社の倒産でかくも滞ってしまうのか、と驚いた。その間、日仏会館などには置かれていたから、大使館などは別ルートで入手していたのだろう。 
 
  最近は洋書を売る店がなくなったり、フランスの新聞雑誌が撤去されたりすることもあるが、ネットでかなりの記事を読むことができるので何とかフランスからの情報に接することができている。しかし、英語に次いでメジャーなフランス語の媒体ですら、この有様なのだから、他の言語は推して知るべしであろう。 
 
  輸入が途絶えていた間も、フランス語専門書店「欧明社」(東京・飯田橋)はインターネットでルモンドが購読できると教えてくれた。今ではネットでフランス語圏の記事を読むことは日常になってしまったが、その頃はネット購読と聞いて抵抗感があったのを記憶している。このところ、書店も古書店も次々と閉店しており、「紙」のインフラは弱いものだと感じる。日刊ベリタもネット媒体だが、僕自身は古い人間だからか、まだまだ紙に愛着がある。 
 
 
■欧明社のホームページ 
 
  1947年に設立されたフランス語書籍専門店。店名をつけたのはラブレーの専門家、渡辺一夫。川端康成、鈴木信太郎、辰野隆、大江健三郎らが常連客だという。蔵書数2万点、在庫数6千点以上とある。 
http://www.omeisha.com/ 


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