2011年10月17日12時46分掲載
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http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=201110171246221
TPP/脱グローバリゼーション
現実を歪曲する大手メディアのTPP推進論 松平尚也
TPP反対・慎重派批判のレトリックの問題をここ数日大きく感じるようになっています。その象徴ともいえるのが10月16日の朝日新聞の社説です。最近の急展開の議論の中での問題はまさにこの社説のように大局的な視点から行動して細かいこというなというものがあります。しかしその問題はTPP交渉の現実からは乖離しています。
特にこの部分が問題と思います。
以下引用
「反対・慎重派の12日の会合では医療・製薬分野が取り上げられた。日本医師会の幹部らが、TPP参加に伴う規制緩和で国内の制度が崩壊すると 訴えたのに対し、外務省の担当者は「公的な医療保険制度はTPPでは議論の対象外」と説明したが、参加議員は納得しなかった。TPPでは最大の懸 案である農業のほか、労働、環境、食品安全など幅広い分野が対象になる。政府は交渉状況を丁寧に説明してほしい。反対派が唱える「国民の生活を守 る」という大義名分の陰に、関連業界の既得権益を守る狙いがないか、見極めることが重要だろう。 」
これは事実と異なります。
TPP交渉の現実を描いたニュージーランドの学者,ジェーン・ケルしーさんの著書「異常な契約」では、第十章では、公衆衛生および医薬品に関する政策について述べられており、TPP交渉における強力 なアメリカのロビー団体であるPhRMAの実態が描か れています。またこの部分が重要なのですが→外国企業の投資が被投資国の公衆衛生法によって妨げられる場合に、外国企業が政府を訴えることのできる投資家対国家の紛争解決手続きについての 記述があります。
もちろんPhRMA 日米規制改革イニシアチブ報告書にも影響を及ぼしてきました。
アメリカの医療政策並びにUSTRにも 大きな影響を与える米国研究製薬工業協会(PhRMA)
http://www.phrma-jp.org/archives/about/company/
ファイザーなどアメリカ製薬大手い企業はTPP推進のための企業連合にも名を連ねすでに日本に相当程度進出していま す。
朝日何をもって大局的と言っているのか。あまりにも事実と異なります。こうした実際のTPP交渉の現実と批判のレトリックの乖離は NGO・市民側から強く指摘しなければならないと考えます。
朝日新聞社説「TPP論議―大局的視点を忘れるな」
http://www.asahi.com/paper/editorial20111016.html#Edit2
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