2011年11月16日14時44分掲載
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核・原子力
<テント日誌>経産省前テントひろば 66日目 穏やかな中にも見え隠れするKKU三位一体
小春日和というのだろうか。テント広場に穏やかな陽がさしている。テント前の歩道には急を聞き駆けつけた20名程度のテントに集う人の列があった。テントと集う人々との間には12日に設置され、14日に補強されたバリガと鎖が横たわっていた。みんなそれを気にする風でもなく、歓談する人、前を見据える人等屈託がなかった。今日も真ん中のテントではカフェが開かれ、テントに集う人は100名を超えた。福島二本松出身だという在東京の中年女性と話し込む。
このところ、右翼の訪問が増えている。毎回違う県の違う団体であるが発言は決まって、「不法占拠している経産省(国)の土地からテントを撤収しろ」というのが骨子になっている。以前にも右翼はテント前の国会通りや桜田通りを街宣車で通り過ぎた。時には7,8台の車を連ねていることすらあった。しかし、どの街宣車も「原発反対、東京電力、経産省は原因をあきらかにし、早く被災民の補償を実行しろ」というもので我々の主張とさして変わらなかった。
不思議にこの右翼の情宣活動には制服警官隊、私服、公安の姿は少なかった。しかし今は違う。右翼の到着と同時に50人前後の制服、公安、私服の警官隊が集合する。時には右翼よりも早く来る。
正午過ぎ、丸の内警察の警備課長、課長代理を筆頭に16名の警官隊がテントの周辺を囲んだ。いつもより少ない体制だがこの体制は右翼7〜8名の参上を予測させる。テント側は全員バリガの前に立った。体制を取っている間に警備課長に訊いた。「右翼と警察はいつも同じ頃に来ますね」。
警備課長は応えて言った。「話し合っているわけではないですよ。情報に基づき、警察独自の判断で出動します」この警備課長の会話に違和感を感じる人もいるだろう。警備課長はあることを切っ掛けにこのような話し方をするようになった。
それはさておき、待てど暮らせど(本当は来て欲しくないのだが)右翼は来ない。1時間後に車尾に日章旗と旭日旗をはためかした小型ジープが音量を絞ったアジを流しながら通り過ぎた。警官隊は撤収した。私達は呆気にとられた。午後3時45分、軽のバン型警察車輌がテントの前に回転灯をつけたまま駐車した。「すわっ、右翼の襲来か……」と緊張する。軽の街宣車が1台来て「不法占拠はモラルに反する」と声を出し続ける。しかし、車上の二人は車を降りることなく去っていった。
5日に経産省にトイレを借りに行って逮捕された某氏が釈放された。私達はささやかな釈放祝いをした。某氏は、「涙は心の汗だ」と言いながら、私達の本当にささやかな釈放祝いを喜んでくれた。
大阪でも、関西電力前で若者達が120時間座り込み行動を始めた。数十人が支援に駆けつけているという。テントも立ててない中で、今夜は4人が泊まり込むそうだ。今後の展開に注目したい。頑張れ!と心の中で叫びながら。
夜半、風邪がつよくなった。テントが風邪にはためき大きな音をたてる。強風がテント内を襲う。寒い。寝ずの番をしている小生とMr.Uはその寒さに震える。これから益々寒くなる。平均72歳(推測)のテント人には辛い冬がくる。精神力と信念で乗り切るだろうが防寒対策を考えるのも悪いことではない。
(文責 テント住人R)
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