2011年12月01日11時45分掲載
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反戦・平和
東京大空襲訴訟控訴審が結審、判決は来年4月25日に
東京大空襲(*)の被災者と遺族が国に謝罪と損害賠償を求めている東京大空襲訴訟控訴審の第6回最終口頭弁論が、11月28日、東京高等裁判所(鈴木健太裁判長)で行われ、結審した。最終弁論にあたって、弁護団側は300頁にも及ぶ準備書面を提出し、国の責任を認めるよう主張した。来年4月25日に判決が出される。(加藤〈karibu〉宣子)
意見陳述は第101号法廷で約1時間半をかけて行われ、北澤貞男弁護人をはじめ9名の代理人と草野和子さん、内田道子さん、城森満さん3名の原告からの陳述があった。国際法から見ても東京大空襲は違法であるという主張、及び受忍論(*)に対する批判、司法の役割について述べられた。そして裁判長からは、来年4月25日に判決が出すと告げられた。
原告団の千葉利江さんは「原告団も弁護団も力を出し切った。(普段は次の日程は「後ほど連絡します」と言われるが)判決日が決まっていたのには驚いた。5ヶ月の時間をかけてじっくり検討するということだと思う」と話す。
夕刻から行われた報告集会には80名の原告・支援者が集まった。12月7日に判決が出る大阪空襲訴訟の原告らも参加した。中山弁護団長は「心血を注いで最終弁論に臨んだ。あとはいかに世論を動かしていけるか、そして裁判長の良心を動かせるかにかかっている」と挨拶した。
事務局長の黒岩弁護士は、「原告側の準備書が300ページに及ぶものであるのに対し、被告国側の準備書は『アメリカに対して請求する権利がない』という6ページの内容のないものだ。4月25日まで5ヶ月間有効に使って、出来ることをしていきたい、団結する力が大切だ」と締めくくった。
*東京大空襲:
1945年3月10日未明、300機以上の米軍B29爆撃機が司令官カーチス・ルメイの指揮により、東京浅草・向島・城東・深川などの下町地域を空襲。日本爆撃用に開発されたナパーム弾を使用し、約2時間半のあいだに、頭蓋骨が確認されているだけで10万人以上の死者を出した。負傷者約40万人、焼失家屋は約26万8千戸、被災者100万人にのぼる。焼失面積約40.9平方キロメートル。家族・親類を失った人、障碍者となった人、孤児になった人、財産を失った人などの被害詳細は、未だ不明。
アメリカの記録によれば、火焔は高度7000mにも及び、灼熱地獄と化した。東京では4月13日から15日に北部南部地域で、5月25日に山の手地域でも空襲を受けている。
*「受忍論」とは、1976年提訴の名古屋空襲の裁判(原告3名)及び79年の遺族による東京空襲の裁判で、「国の存亡に関わる非常事態のもとでは、国民のひとしく受忍(我慢する)しなければならないところ」として原告敗訴を申し渡した最高裁判決の用語。
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