2011年12月03日10時17分掲載
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ロシアン・カクテル
(33)スラブの「いろは歌」 タチヤーナ・スニトコ
日本の「いろは歌」のように、古代ロシアにも頭韻法的アルファベットの詩がありました:
Азъ Буки Веди. Глаголь Добро Есте,
アーズ、ブーキ、ヴェーヂ。グラゴーリ、ドブロー、イェーシチ。
Живите Зело, Земля, И, Иже Како Люди, Мыслите Нашь Онъ Покои.
ジヴィーチェ、ゼロ、ゼムリャー。 イー、イーゼ、カーコ、リューヂ、ミースリチェ、ナーシ、ポコーイ
Рцы Слово Твердо - Укъ Фърътъ Херъ. Цы, Черве, Шта Ьра Юсь Яти.
リツィー、ソローヴォ、ツヴョールダ。ウク、フェレツ、ヘール。ツィ、チェールヴェ、シター、エリェ、ユーす、ヤーチ。
現代の言葉に翻訳すると次のようになります;
「私は文字を知った。言葉は「富」である。地上に住んでいる人間は、一生懸命努力をして、勤労に励み、宇宙(世界)を理解せねばならない。 真の言葉を言いなさい。真の知識は神様から賜った知識である。宇宙(世界)の“光”(知恵)を理解しなさい。」
ロシア語では「アルファベット」は “azbuka”(アーズブカ)です。現代のロシア文字は(А)アー、(Б)ベー、(В)ヴェーのように発音されています。20世紀初頭まで、いずれの文字も(А) アーズ、(Б) ブーキ、(В)ヴェーヂ等の元の名称と意味で記憶されていました。
古代スラブ語では、[az]は「私」を意味していました。「ブルガリア語では“私”は“az”です」。“Buki”は 「文字」を意味します。
昔の本の飾りの頭文字にも意味があります。
[A] Аз(アーズ)はシムルグです。巨大な伝説の鳥が描いてある。孔雀のような鳥で、犬の頭、ライオンの足がある。ある本には人間の顔が描いてある。シムルグは地上と天界の結合を表わす。又別のシムルグの意味は太陽に関係するので“神々しい光”である。 [A] Аз(アーズ)という文字は「世界の源」も意味する。
[Б] Буки(ブーキ)は「文字」(複数)を意味する。世界の第二の場所のシンボルである。飾りは木、ガラス、動物でできている。人間の姿は自然の中の人を表している。
[B] Веди(ヴェーヂ)は“知る”を意味する動詞«ведити»(ヴェーヂチ)の過去完了形である。語源はサンスクリット語(梵語)である。よく知られているように、ヴェーダ(サンスクリット語で「知識」を意味する)はアジアが起源の経典の集大成である。それらはサンスクリット語の最古のものであり、ヒンズー教のもっとも古い聖なる経典である。
スラブの“いろは”は日本の言霊の五十音の意味に少し似ていませんか。
(注) 面白いのは、ロシア語の “buki”もドイツ語の“Buch”(本)も、起源は「ぶな」という木の名前です。
(ロシア語:«бук»、ドイツ語:“Buche”)。
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