2011年12月17日10時58分掲載  無料記事
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アジア

「クール・ジャパン」の復権なるか? 韓流が席捲するマレーシア

  このところK−POPや韓流ドラマに押され気味なJカルチャーのアジアでの巻き返しを図ろうと、経済産業省が「クール・ジャパン戦略推進事業」の海外展開に乗り出した。その第1弾としてシンガポールで10月から11月にかけて、さまざまなイベントを通じて日本のアニメや音楽、ファッションなどのコンテンツをPRする「クール・ジャパン月間」を展開した。(クアラルンプール=和田等) 
 
 シンガポールを拠点にこうしたイベントを実施していくことで、アジアに日本のコンテンツ情報を発信し、ビジネスを軌道に乗せていくことをめざす。シンガポールではこのほか、現地外食産業などと連携し、東北の食材も含めた日本の新しい食ブランドの構築をめざす試みにも取り組む。またクール・ジャパン戦略の下、このたびのシンガポールを皮切りに2012年3月までに中国、インド、韓国、フランスなど8ヵ国で13の委託事業を展開していく。 
 
 しかし、今や若い世代への浸透度ではK(韓流)カルチャーにお株を奪われっ放しの日本にとって、海外展開のハードルは低くない。アジアでは1980年代に比べて、日本のテレビ番組の放送は大きく減っている。シンガポールでは今年5月にアイドル・グループ、AKB48の名前を冠したカフェがオープンし、メンバーによる定期公演を開催されているが、隣国のマレーシアでさえ、これまでのところ若い層にはその波及効果は表れていないようにみえる。 
 
 実際、マレーシアではKカルチャー花盛りを思わせるエピソードに事欠かない。16話からなる韓国テレビ・ドラマ・シリーズ「Scent of Woman(女人の香り)」のプロモーションのため、主演を務めるキム・スンアとリー・ドンウォクが12月初旬、クアラルンプールを初訪問したのがその一例だ。地元紙も2人のマレーシア訪問を大きく報道した。 
 
 このTVドラマはマレーシアのほか、日本、香港、台湾、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナム、カンボジア、ビルマ(ミャンマー)のアジア計10ヵ国・地域で放映されているが、まさに「韓流ブーム」健在を思わせる。露出度の高さでJカルチャーは形無しの感は否めない。 
 
 また今年初めにもK−POPガールグループの4ミニットや男性グループのビースツがマレーシアでコンサートをおこなっており、音楽面でもK−POPに押され日本の影は薄い。 
 
 日本のタレントやアーティストはギャラが高いので市場の小さいマレーシアに簡単には来れないという事情があるが、このままだと「クール・ジャパン」戦略もかけ声倒れに終わり、「クール・ジャパン」の復権はむずかしそうだ。 
 
 
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