2011年12月20日00時24分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】2つの嘘(津波原因説・原発は安い)は崩壊−再稼働の根拠は破産  柳田 真

 14日と15日にメディアによる2つの報道は注目に値する。それは原発推進側の2つの嘘を、それぞれ保安院と国(野田政権のエネルギー環境会議)が否定したからだ。 
 
 1つは東電の嘘(福島原発事故は「津波原因説」)についての事実による否定だ。川内博史議員(民主党)らの追求で原子力安全・保安院がデータに基づいて地震によって原発内の主要な配管が亀裂したことを認めたこと、東電が主張する福島原発事故の津波原因説が保安院によって否定された意味はとても大きい。ずっと以前から田中三彦氏や広瀬隆さんらが繰り返し主張・指摘していたことだが……(もともと津波原因説には物証がなかった)。 
 
 保安院が認めた0.3平方センチの配管亀裂から1時間あたり7トンもの水が漏洩する。こうして「日本の原発は優秀で地震にも強い」の虚構が砕かれた。原発輸出も許されない事が証明された。これは原発定検後の再稼働推進論の誤りを突き、大きな打撃を与える(東京新聞12月15日付。「こちら特報部」に詳しい解説が載っている)。 
 
 2つめは「原発は安い」という推進派の嘘神話が3.11大惨事の重みによって、政府の会議ですら否定されたことである。「原発コスト5割増」という政府試算の発表である。 
 
 実際はこの試算でも大甘で、誤魔化しがいくつかある。例えば、原発の稼働率を70%としてみるのは間違いだし(現在は10%強の稼働率)、原発事故の費用もこの程度で済む筈がない。今後は更に上昇し、やがて原発は一番高いという真実が人々の眼の前に明らかになる。 
 
 それでも「原発が一番安い」という嘘神話が原発推進派自身(政府)によって否定された意味は小さくない。 


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