2012年01月05日13時55分掲載  無料記事
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核・原子力

【たんぽぽ舎発】細野原発担当大臣曰く、「住民が追加で避難しなければならない事態はもう絶対起こらない」?  山崎久隆

 12月16日の野田首相会見は「冷温停止」と同時に「事故収束」も宣言した。このことは以前にも書いたが、もう一つ指摘しなければならない。「事故収束」を同時に宣言した細野剛志原発担当大臣が「住民が追加で避難しなければならない事態はもう絶対起こらない」と言ったのだ。 
 
 もともとこの日は「ステップ2」の達成という「節目」についての会見でしか無かったはずなのに、どういうつもりか事故を収束としてしまった。そのあげくに「追加避難は絶対無い」と、根拠の無い「安全宣言」までしてしまった。それを聞いて佐藤雄平福島県知事までもが怒った。事故収束とは、一般には事故処理が完了したという意味だろうが、この場合、放射能放出を止めたわけでも、事故の影響が無くなったわけでも無い。 
 
 最も大きな問題は細野大臣の言う「住民の避難が今後新たに生じない」ことを「絶対」という言葉で言ったことだ。これほどの事故を引き起こしたのに、まだ政府には「平常性バイアス」に基づく「安全神話」が生きているのかと愕然とした。 
 
 最も重大な責任があるのは原子力安全委員会だ。斑目春樹委員長は「収束という言葉を使ったことが無い」などと毎日新聞に語っているが、本当ならば全力を挙げてそのような発言を阻止すべき立場だった。それをしなかった責任はあまりにも重い。安全神話をまき散らし、事故の影響をできるだけ小さく見せようとする政府の行為を助長するような原子力安全委員会は今すぐ解体すべき 
だ。 
 
 原子炉直下にある燃料のデブリからは、まだ大量の放射能が出続けて散る。そのため厳重な装備を付けなければ建屋内部はもちろんのこと、周辺にも近づけない。作業員は被曝覚悟で作業に当たるが、収束と言われて呆れかえっている。ますます自分たちの安全が脅かされるのではと、恐怖を感じる人も居る。 
 
 細野大臣の「絶対」という言葉を使っての追加避難否定発言は、これから放射能を放出する事態になっても避難を発令しないとも読める。原子炉直下にある燃料は、大量の水を流し続けてようやく冷えている。冷却水が止まれば再度高温になる。燃料が何処にどうなっているかがさっぱり分からない状態では、そういうことにならない保証が出来るわけがない。 
 
 さらに、気象庁は大規模余震と津波の到来を否定していないばかりか、相当高い確率で発生し得るとしている。地震と爆発で大破している原発が余震や津波の襲来に耐えられると、誰が保証できるというのか。健全だった原発ですら地震で大破したことを、もう忘れたのだろうか。次のステップに進むためには、仕切りが必要だとしても、それは「収束宣言」ではあり得ない。 
 
 (たんぽぽ舎・劣化ウラン研究会) 


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