2012年01月05日20時45分掲載
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欧州
闘牛と戦う人々 動物と人間に対する虐待をやめよ
フランスにCRACという闘牛に反対する組織がある。闘牛は牛を大衆の前で何度も刺し殺す残虐な行為である、ということで1991年にフランスで活動を始めた。そのウェブサイトによれば、設立の中心人物はジャック・ダリ氏と、エーメ・タルデュー氏とされる。思想家たちも加わり、実際に闘牛を廃止させるべく、活動を広げていった。2004年に亡くなった哲学者のジャック・デリダも名誉会長を引き受けていたとされる。
http://www.anticorrida.com/le-crac/
CRACは一動物愛護団体というよりはウェブサイトを見る限り、政治団体の印象がある。何条項もの会則を定め、「闘牛を禁止する」という目標を明快に定めている。
CRACの綱領を読むと、その精神は牛を虐待しないことだけではなく、動物や人間に対する虐待行為全般に対する反対運動を繰り広げている。「拷問を拒否しよう(Refusons la torture)」という標語があちこちに出てくる。
闘牛では人間が乗る馬も牛の角で刺されて苦しんで死ぬことがある。一人の写真家は自分が撮影した一枚の写真について語っている。彼は闘牛士を目前にした牛の眼差しを見て、それが野蛮な行いであることを確信したと言うのだ。サイトでは「闘牛は恥だ(Corrida La Honte!)」と書かれたTシャツも販売されている。
http://www.anticorrida.com/boutique/#148
サイトによればフランス国内で闘牛が行われているのは南部の地中海沿いおよび大西洋沿いの11県である。地域の伝統ということで闘牛に対する根強い支持があるという。CRACは国内の闘牛の禁止を目指して、社会党・UMP(国民運動連合)双方の議員に働きかけ闘牛禁止の法制化を目指している。
一方、スペインでは2003年にカタルーニャで14歳以下の子供の闘牛場への入場を禁止した。さらに2004年に初めてバルセロナ(カタルーニャの州都)が闘牛禁止を打ち出した。スペインではそのほか、40以上の都市が闘牛反対を宣言しているとされる。
この団体は菜食主義をうたっているわけではない。欧州人は基本的には肉食文化である。彼らが訴えているのは動物をいたずらに惨い方法で殺戮することや、それを見世物にするのをやめよ、ということである。
■エリザベス・アルドゥウィン=フギエ著「欧州闘牛史 18世紀から21世紀まで」Elisabeth Hardouin-Fugie,
'Histoire de la corrida en Europe du 18 au 21 siecle'
CRACによると、闘牛の歴史を扱ったこの本は闘牛禁止運動家のバイブルともいえる本のようだ。編集はパリのサントノーレ街にある'Connaissances et Savoirs'叢書による。文豪ヴィクトル・ユゴーも闘牛禁止運動に参加していたという。
http://www.anticorrida.com/IMG/pdf/Description_-_Histoire_de_la_corrida.pdf
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