2012年01月18日17時07分掲載
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緊急連載
ウィキペディア（英文）がブラックアウトに突入 米規制法案に抗議 ＜その中身とは？＞
ウィキペディア（英文）が予告通り、24時間ブラックアウトに突入した。検索をかけると一瞬、画面が出るが、すぐにブラックアウトになり、「Imagine a World Without Free Knowledge（情報の自由が消滅した世界を想像して）」と出てくる。
これは今、米議会で進められているインターネットメディア規制法案に抗議するため。ウィキペディアは過去10年にわたって何百万時間の労力を費やして築いてきた人類最大の百科事典である。これに対して米議会がダメージを与える法案を作成していると警告している。英文で検索をかけると画面が出てくる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:SOPA_initiative/Learn_more
ウィキペディアの説明には以下のように書かれている。米議会で審議されている法案はＳＯＰＡ（下院）およびＰＩＰＡ（上院）と略称されているがこれらがインターネットにおける自由な情報の交換に脅威を与え、ウィキペディアもダメージを受ける点で例外ではないとするものである。ここでいうSOPAとは「Stop Online Piracy Act」であり、PIPAとは「Protect IP Act」の略である。これらはインターネット世界における著作権侵害を封じ込めるための法案である。
今回の法案が過去のものと違っているのはこれまで著作権侵害というと映像や歌が主に対象とされてきたが、今回の法案では対象を活字に広げていることである。これはインターネット界の言論を規制することになりかねない。だから、ウィキペディアが対象になりうるのである。
’SOPA and PIPA are badly drafted legislation that won't be effective in their main goal (to stop copyright infringement), and will cause serious damage to the free and open Internet. They put the burden on website owners to police user-contributed material and call for the unnecessary blocking of entire sites. Small sites won't have sufficient resources to defend themselves. Big media companies may seek to cut off funding sources for their foreign competitors, even if copyright isn't being infringed. Foreign sites will be blacklisted, which means they won't show up in major search engines. And, SOPA and PIPA build a framework for future restrictions and suppression.’
今検討されている法案のSOPAとPIPAがなぜ危ないか。
ウィキペディアはこう説明している。まずこれらの法案で導入されようとしている対抗措置では確信犯たちの著作権侵害の活動を根本的に止めることができないことがある。それだけではない。この法案は自由でオープンなインターネット世界に脅威となるものである、と指摘している。
たとえばウェブサイトを運営するオーナーにユーザーが投稿した情報のチェックを義務付け、（必要があれば）ウェブサイト全体を閉鎖させることもできる。その結果、小さなウェブサイトは自分を守ることが難しくなるだろう。というのはブラックリストに載せられると、主要な検索エンジンから排除されることになるからだ。ひとたびブラックリストに名前が載ってしまったら、そのウェブサイトはグーグルで検索してもひっかからなくなってしまう。大メディアはたとえ彼らの著作権が侵害されていないとしても外国の競合するメディアの資金を封じ込めることができるようになるだろう。
さらにこれらの法案はその先の情報統制も検討しているとされる。そもそも、現在においても何を持って著作権侵害とするのか基準が明確でなく、したがって法案の根幹をなす規制の基準があいまいであることが大きな問題だ。取締りの基準があいまいである、という点でハンガリーで問題になった新メディア法案と同根の問題である。あいまいであればあるほど、当局の裁量にゆだねられる。それは必ず言論界の自主規制を促進するだろう。
もし日刊ベリタが仮に「ならずものサイト（Rogue Web Site)」ということでブラックリストに掲載されればグーグルでも、ヤフーでも検索できないということになる。昨年のニューヨークタイムズの社説によればこれらの法案は外国の確信犯的な海賊サイトに狙いをつけているとされる。たとえばスウェーデンの「海賊湾（Pirate Bay)」などが想定されているようだ。しかし、法案が通ると一部の確信犯的な著作権侵害サイトだけでなく、すべてのウェブサイトが規制を受ける可能性がある。ひとたびブラックリストに掲載されるとアメリカの主要な検索エンジンから排除されてしまう。また、ペイパルなどの米国の送金システムからも排除することが検討されていると去年、ニューヨークタイムズで報じられた。ウィキリークスを追い込んだのと同様の措置である。
この法案をハリウッド対シリコンバレーの営利争いと報じるメディアもあるが、まったく本質は異なるとウィキペディアは言う。それはこの法案への反対運動を単なる利権争いに見せることになりかねない。しかし、本質はそうではない。たとえばウィキペディアは営利目的のウェブサイトではない。世界の人々に開かれた、政府の規制を受けない自由な百科事典である。世界中の多くの人がボランティアで協力して莫大な労力を結集して構築したウェブサイトである。ウィキペディアが戦っているのも、世界の人々が自由に情報にアクセスできない時代が来るのを防ぎたいからだというのである。
この法案、上院では来週から審議に入り、下院では2月から審議に入る見通しだとされる。
■ニューヨークタイムズ社説（昨年11月28日）
ニューヨークタイムズは昨年暮れの社説で、この問題を取り上げ、下院で審議している法案は規制対象が広すぎると批判していた。
'Under the bill, copyright owners could direct payment provaider like Visa and advertising networks like Google's to cut off business to a Web site simply by filing notice that site-or ''a portion '' of it - engages in, enables or facilitates '' intellectual property infringement or is being willfully blind to it .Accused Web sites would have only five days to assert their innocence.And the payment providers and ad netwarks could not be sued by sites that were wrongly cut off, so their easist course of action might be to just comply with copyright owners' requests'
著作権が侵害されたと訴える著作権者がVISAのような決済機関やグーグルのような検索サイトに著作権を侵害した当該ウェブサイトに対する対抗措置を要求することができるようになる。その結果、著作権侵害を指摘されたウェブサイトは資金の送金を封じられたり、検索システムから切り離されたりする。しかも、VISAやグーグルなどは仮にその措置が後で間違いであった（つまり著作権侵害の事実誤認があった）としても措置を受け被害をこうむったウェブサイトから訴えられることはないとされる。こうなると、著作権侵害を訴える企業の要求に簡単に応じるようになるだろう、とするのである。
ニューヨークタイムズはこういった批判をしながら、対抗措置を行うには裁判所の判決を必要とすべきだと論じる。
これらを振り返ると、法案で問題になっているのは
�｜�作権侵害の基準があいまい
��著作権者が求めれば対抗措置が簡単に打たれるようになる
（競争相手つぶしや政敵つぶしの言いがかりも多数出てくるだろう。ネットメディアのコントロールも簡単になるだろう）
��この法案では確信犯的な海賊サイトを防げない
といったことである。ニューヨークタイムズの上記の社説から2か月近くたち、その間に法案ももまれて、多少修正を加えているようである。それについては情報が入り次第、レポートしたい。
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