2012年01月26日14時52分掲載
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「保険化する社会福祉」への対抗構想を示す
『保険化する社会福祉と対抗構想〈オルタナティブ〉―「改正」された障害者・高齢者の法と社会保障・税一体改革』。「社会保障と税の一体改革」という言葉が、野田政権の進める増税路線に乗って広がっている。そこには肝心のあるべき社会保障の姿は見当たらない。本書は、福祉サービスから排除される障害者や高齢者の視点から、あるべき社会保障のあり方などの対抗構想をまとめたものである。著者は伊藤周平(いとう・しゅうへい)鹿児島大学法科大学
日本の社会保障給付費のうち、社会保険(医療保険、介護保険、年金保険、雇用保険、労災保険)は九割に達し、社会保険が社会保障の中軸をなしている。
しかし、社会保険制度には、保険料を支払わないものには給付がないという「排除原理」が内在する。いま、保険原理が強化され、保険料が収入や所得のない人にも賦課され、保険料を滞納した人には給付制限が強化されている。
このままでは、必要な福祉サービスが利用できない高齢者や障害者・子どもが続出することとなる。本書は、いま、限りなく私的保険に近づく社会福祉の動きをとらえ、人々を福祉サービスから排除する構造を明らかにするとともに、だれもが福祉サービスを受けることのできる対抗構想としての〈高齢者・障害者総合福祉法〉を提起する。
『保険化する社会福祉と対抗構想〈オルタナティブ〉―「改正」された障害者・高齢者の法と社会保障・税一体改革』
四六版・並製、224頁
ISBN978-4-903295-62-6 C0036
定価 1700円+税
発行 山吹書店
http://yamabuki-syoten.net/
発売 JRC
http://www.jrc-book.com/
■――目次
序 章 東日本大震災と社会保障・税一体改革
第1章 改正障害者自立支援法と障害者福祉のゆくえ
第2章 児童福祉法の改正と障害児の療育・保育のゆくえ
第3章 介護保険法の改正と高齢者福祉のゆくえ
第4章 社会保障・税一体改革と保険化する社会福祉
第5章 対抗構想としての高齢者・障害者総合福祉法
終 章 課題と展望―対抗構想の実現に向けて
■著者紹介――伊藤周平(いとう・しゅうへい)
1960年生まれ。鹿児島大学法科大学院教授。
労働省(現厚生労働省)、社会保障研究所(現国立社会保障・人口問題研究所)を経て、京大学大学院修了。法政大学助教授、九州大学助教授を経て、2004年4月より現職。著書に『介護保険法と権利保障』(法律文化社、日本社会福祉学会学術賞受賞)、『後期齢者医療制度−高齢者からはじまる社会保障の崩壊』(平凡社新書)、
『障害者自立支援と権利保障−高齢者・障害者総合福祉法に向けて』(明石書店)、『医療・福祉政策のゆえを読む−高齢者医療・介護制度/障害者自立支援法/子ども・子育て新システム』(新本出版社)などがある。
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