2012年02月19日15時05分掲載
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コラム
「電子書籍、実はすごい!」 鬼塚忠
2010年1月に、弊社プロデュースで、夏川賀央著「すごい会社のすごい考え方」(ユナイテッド・ブックス)を世に出しました。企画も文章もよかった、と思っていたのですが、重版するには至らず、そのまま絶版となりました。絶版を伝えられるときは、本当に悲しいものです。作家やエージェントにしてみれば、コンテンツを産む訳ですから、文字通り子供のようなもの。
しかし電子書籍の許諾をしたら、3か月間で4万部超の売上報告が送られてきました。思わず、配信元に確認してしまいました。本当か、と。
もちろん本当でした。
これはすごい。
電子書籍の世界でもこれは驚異の数字です。今でもアップストアランキングの上位に、ずっと居続けています。ほとんど宣伝らしい宣伝をしていないのに、です。
こんなに売れ続けるのはなぜなんだと思い 再読すると、なるほど、と。いい内容なのです。
出版直前に既に読んでいたはずなのに、これだけの価値を見いだせなかった自分がとても恥ずかしい。内容がとてもいいのです。これを販売力のある紙で出す出版社に持っていき、再販すると、おそらく10万部は行くのではないかと思っています。
実は売れた本を形を変えて、再販するとリスクなく売れます。弊社でもこの手法でだいぶんベストセラーを作ってきました。「自分の小さな箱から脱出する方法」や「ハイパワーマーケティング」がそれです。
電子書籍のおかげで、コンテンツの敗者復活がしやすくなりました。なので、電子書籍も悪くないかもと思うようになりました。
とはいえ、まだまだ問題はあります。四万部売れたとしても、売価は85円。もしくは350円で、利益を出すには程遠い。どうにかして収益を取れるようにしないと。まだまだ電子書籍の試行錯誤は続きます。
電子書籍は出版界のシステムを大きく破壊する可能性があります。しかしそれが悪いわけではなく、むしろ中小にとってはチャンスかも。紙の書籍はビジネスの規模が物を言い、また、流通も同じ、規模が小さかったり、新しい会社は条件が不利ですが、しかし電子書籍にはまったく関係ないのです。いいものは売れる、そんな状態です。
これからも注目です。
鬼塚忠 作家・出版エージェント
「アップルシード・エージェンシー」代表
http://www.appleseed.co.jp/
*アップルシード・エージェンシーのブログ・・・メディア掲載、イベント、翻訳版の出版など、作家さんの最新情報をお知らせしています。
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