2012年02月26日00時26分掲載  無料記事
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アフリカ

現代の遊牧民〜モダン・ノマドの日記 3〜アンドレイ・モロビッチ

  ■デインジャー・オマル 
 
  スキー用品店でデインジャーはいつでも新米の弟子たちを呼んで茶を入れさせたり、土製の壺から冷たい水を1杯くんで持ってこさせたり、疲れた客たちの為にサンドイッチを持ってこさせたりする。だが、観光シーズンは短い。3月にはシーズンもオフに向い、4月になるとうだるような暑さが襲う。5月ともなれば目を半開きにしたまま、最悪の暑さを避け、猛暑が引き起こす特殊なインフルエンザ=ezisにかかるのを避けようとする。そして次の季節の到来を待ちわびるのだ。それは8月の後半に始まる。様々な物語やエピソード、そして思い出の多くはこの頃に材を取っている。よき語り手はみんなから望まれる。特に娘たちからだ。 
 
  しかし、もちろん何事も先立つものは金である。金がなければここではゼロだ。安全は保障されないし、美しいものとも無縁に終わる。だから、デインジャーはつらい季節に西アフリカをせっせと市場から市場へ行き交い、仕事に精を出す。そのほとんどは物々交換だ。というのも、モーリタニアでは貨幣が圧倒的に少ないからだ。 
 
  おかげでデインジャーのスキー用品店には客がやってくるまで怪しいものが山を為す。宗教に関係するモノや宗教とは無縁のモノ、輸入品など。観光客はいい客だが、イスラム教に対するネガティブキャンペーンのおかげで今年は観光客が少ない。政治は悪い方向に向かい始めた。政治家たち人々を脅している。だが、きっと来年はすべてがよくなるだろう。右に行こうと左に行こうと来年はまずまずとなるだろう。 
 
寄稿 アンドレイ・モロビッチ 
翻訳 プリモス・トロベフセク(スロべニア語→英語) 
翻訳 村上良太 (英語→日本語) 
 
■現代の遊牧民〜「モダン・ノマドの日記 2」 
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