2012年03月04日14時46分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】3・11後にわかったこと(2)内陸直下型地震はどこを襲うか分からない 島村英紀(地震学者)
日本を襲う大地震には海溝型と内陸直下型のふたつのタイプがある。 日本海溝や南海トラフなどの海溝の近くに起きる地震がプレート同士の衝突で起きる「一次的」な原因によるものだとすれば、これら内陸の地震は、そのプレートの一次的な衝突が引きおこす「二次的」な原因による地震である。しかし、二次的な原因による地震とはいっても、地震を起こすメカニズムとそれが起こす地震の被害とはもちろん別のものだ。その地震が直下型として起きれば大きな被害を産むことがあるのが恐ろしい。
海溝型は起きる場所も、起きるメカニズムも、かなり分かっている地震だが、内陸直下型は、日本のどこを襲っても不思議ではない、という厄介な地震である。そして、起きるメカニズムも海溝型地震よりも多様である。
そのうえ、直下型として起きるがゆえに、地震のマグニチュードが7程度でも大被害を起こすことがある。マグニチュードは数字が一違えば、地震のエネルギーは約30倍、2違えば1000倍も違う。つまり、海溝型地震よりもずっと小さい地震でも、大きな被害を生む可能性がある。
たとえば、阪神淡路大震災を起こした兵庫県南部地震のマグニチュードは7.3だった。これは東北地方太平洋沖地震のエネルギーのたった1000分の1、そして2003年に起きた十勝沖地震のエネルギーの10分の1のエネルギーでしかない。
地震を起こした地震断層の大きさも、兵庫県南部地震は長さ約40キロ、幅約15キロだったが、東北地方太平洋沖地震は長さ約450キロ、幅約150キロあり、面積は兵庫県南部地震の阪神の100倍もあった。なお、地震断層が滑った量も、兵庫県南部地震は最大のところでも約2メートルだったが、東北地方太平洋沖地震は最大50メートル以上もあった。
そして、兵庫県南部地震なみの大きさの地震は、日本だけでも毎年1〜2回起きている。それが阪神や淡路島という住宅密集地を襲ったので、あれだけの大震災になってしまったのだ。
日本列島がプレートの動きに押されて、ゆがんだりねじれたりして起きるのが直下型の地震だから、直下型地震が次にどこを襲うか、残念ながら、現在の学問では分からない。その意味では、起きる場所が分かっている海溝型地震よりは恐ろしい。いわば、日本のどこにでも、次の内陸直下型地震が発生する可能性があるのだ。
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