2012年03月28日20時23分掲載
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アジア
カンボジアの鉄道建設で住民数千人を強制移住 アジア開銀の援助プロジェクト
アジア開発銀行とオーストラリア政府の海外援助機関AusAIDの資金援助によりカンボジアで進められている鉄道修復・再建プロジェクトで、工事にともない住民数千人が強制移住を余儀なくされた問題が浮上、オーストラリアの援助監視団体などが批判の声をあげている。(クアラルンプール=和田等)
オーストラリアの公共放送ABCによれば、カンボジアの鉄道路線を30年間の契約で民間運営委託を受けたオーストラリア企業トールがこのほど、鉄道修復の遅れによって建設に支障が出るのが避けられなくなったとして、1年間このプロジェクトへの関与を凍結することを明らかにした。
このプロジェクトに関しては、線路建設のため、鉄道周辺住民数千人がわずかな補償と引きかえに土地を奪われ、水も電気もなく、およそ人が基本的な生活を営むに値しないような場所に移住させられている、とオーストラリアの援助プログラムを監査する独立系機関エイドウォッチが批判している。
批判に対してトールはコメントを出していないが、このたびのプロジェクト参加の一時見合わせはこの批判も影響しているとみられる。トールがプロジェクトから完全に撤退する可能性を示唆する向きもある。
エイドウォッチは、「資金援助をしているAusAIDはこのプロジェクトがアジアにおける鉄道路線の民営化の起爆剤になるプロジェクトと位置づけ、正当化する理由にあげているが、強制移住問題には口をつぐんでいる。アジア開発銀行も移住問題に無視を決め込み、実質的な解決策を提示しようとする姿勢が見られない」と批判、援助機関の責任を問うている。
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