2012年03月29日14時07分掲載
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核・原子力
【たんぽぽ舎発】「免震重要棟」は何処にありや 東電・中電以外、どこの電力会社も持っていない 山崎久隆
福島第一原発において、原子炉が破壊されて以降、発電所長以下の東電やメーカーなどが「立てこもった」のが「免震重要棟」だった。
この建物は、2010年に完成した。柏崎刈羽原発で2007年に起きた中越沖地震の影響により通常の建築物だった事務建屋や緊急対応施設が破壊され全く機能せず、何と駐車場にホワイトボードを並べて臨時の対策本部を設置せざるを得なかったことを教訓にしている。
もし「免震重要棟」が3.11の時点で存在しなければ、事務本館を含め全ての建物は使用不能となっていたことから、同じように屋外にて収束作業をせざるを得なくなり、その後襲ってきた放射能で全滅していただろう。
免震重要棟が無ければそうなっていたことを吉田前所長自身が語っている。
もし免震重要棟すら破壊されるような地盤崩壊を含む地震であったとしたら、同じように福島第一が今の姿で済んでいない。
格納容器が破壊されるような爆発が起きていたら、免震重要棟にいたとしても強力なガンマ線照射によりこれもまた、全員死亡している。3号機の爆発映像は、瞬時に格納容器破壊を想像した人が多かった。特に情報が無い海外では、そのようなとらえ方をするメディアもあった。幸い、2号機の格納容器破壊は建屋の下で起きた。格納容器上部はいずれの原発も破壊を免れた。
今回の福島第一が現段階で止まっている重要なポイントは、
1 免震重要棟があり、その性能が今回の地震においては、被害を最小限に
抑えるレベルであり、人が居続けられたこと。
2 格納容器が完全に破壊されなかったこと。
が上げられる。
さて、他の原発には免震需要等があるのだろうか。また、格納容器が破壊さ
れない確固たる対策があるのだろうか。
福島第一を繰り返さないなどというレベルではない。現実にはそれを遙かに
超える巨大原子力災害すらも否定できない現状に、他の原発がおかれているの
だと言うことを認識すべきだ。
中国電力は「平成25年度着工26年度完成を目指す」としている。今現在
島根原発内には免震重要棟は無い。今現在地震に襲われれば事務本館は破壊さ
れる。それでも運転をしようというのだから、心底恐ろしい。
結局、免震棟を持っている電力は東電の他には東海地震が想定される中部電
力のみ。これで運転再開をしようというのだから、福島第一の教訓など何処吹
く風だと言うことがよくわかる。
免震棟があっても、その性能や免震構造さえ突破する地盤崩壊などの危険性
が指摘される。さらに放出放射能による被曝は、建物が健全でも遮蔽や密封構
造がダメだったり破壊されれば結局は人が残れない。それを考えれば、運転再
開などと言うこと自体が現実離れした計画だと誰にも分かるだろう。ちょっと
いい加減にしてもらいたい。少なくても福島第一の免震重要棟と同程度の機能
がない限り、そもそも事故収束作業さえ不可能なのだ。そのような原発に対し
「運転再開日程」など提示できるわけが無いことを全ての関係者は知るべきだ。
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