2012年04月01日11時16分掲載  無料記事
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アフリカ

現代の遊牧民 「モダン・ノマドの日記 7」 アンドレイ・モロビッチ

■職人と女性たち 
 
  鍛冶屋たちと女性の革職人たちは仲間意識と一致団結のよい例だ。どういうことかと思われる読者の方々の為に少し説明すると、鍛冶屋と女性の革職人たちは人種や出自にはこだわらず、皆ともに働いているということなのである。人種や出自で人を差別することをよしとできるのは特権を持つ人々だ。彼らは自己の存在がもろい1本の藁にかかったことなどないだろうから、そういう差別ができるのだ。 
 
  顧客から忘れられないためには勤勉でなくてはならない。もしある種の製品が自分が属する民族とは別の民族に由来する商品であったとしても、よく働くことで人の記憶にとどめてもらうことが可能になる。たとえば、ハウサ(Hausa)の娘が非常に色鮮やかなトゥアレグ(Touareg)の枕を作る場合。あるいは、屈強なトウボウ(Toubou)の娘がフラニ(Foulani)の宝石を加工する場合。あるいはトゥアレグの女性が普通はゼルマ(Zerma)しか身に着けない華やかな陶製のリングを加工してブレスレットにする場合。こうした新たな労働者の腕と頭脳と心によって、商品の製造も重要な進歩を遂げる傾向すら見られる。 
 
  鍛冶屋は伝統的な製法を使い、外来文化に影響を受けた品を生み出す。ふいご、炭、鋳型、ハンマー、やすりなどのようなモノである。女性革職人の工具はもっと原始的なものである。針は中国産、糸はアフリカのPETのプラスティック製の袋をリサイクルして作られる。ちなみに、このPETの袋は非常に薄く、何色であろうと向う側が透けて見える。しばしばリサイクルされる前に、町を徘徊する山羊たちがもぐもぐ食べてしまう。 
 
  鍛冶屋にも革職人にも協同組織が作られている。朝から夜まで働き、協同組織で食事も行う。家族のいない労働者はそこで寝泊りもしているのだ。しかし、彼らにとって大きな問題は消費者の不在であり、市場がないことである。ニジェールを訪れる観光客は空港につくとすぐに砂漠に旅立ってしまう。観光客に土産物を買わせるのは中国製のオートバイに乗って追いかけてくる商人たちだ。彼らは観光客がヤシの木陰や言葉が出ないほど美しい砂漠にいる時を狙う。市場と利益を独り占めしているのはこうした商人である。 
 
  鍛冶屋も革職人の女性たちも効果的にマーケティングをする必要性を感じている。しかしながら、なかなかうまくいかない。それでも、彼らは多少の土地を得た。心楽しい職人村だ。この村は白人のnasaraが資金を提供した。昔はそこはライフルを持った男が徘徊する狩猟場だった。今はキャノンやニコンのカメラを持った人々が取って替わった。また、聖書やドル紙幣がいたるところにある。ニジェール北部にあるアガデス州の一等地に建てられた古い粘土づくりのモスクには障害者の協同組織もある。障害者たちは楽しく飾りつけされた三輪車に乗り、神を讃える歌を歌う。こうして得たお金を仲間で分け合い、流入するコピーの音楽CDに不利ながら戦いを挑んでいる。彼らが明るい未来を迎えるかどうかは神のみぞ知る。 
 
寄稿 アンドレイ・モロビッチ 
翻訳 プリモス・トロベフセク(スロべニア語→英語) 
翻訳 村上良太 (英語→日本語) 
 
  モロビッチさんの故国、スロベニアの情報は以下。 
 
■スロベニア共和国(Republic of Slovenia) 
 
イタリアの東隣にあり、クロアチアの西隣に位置する。冷戦時代はユーゴスラビア連邦に属した。人口200万人。首都はリュブリャナ(28万人)。面積は2万273平方キロで四国とほぼ同じ。スロべニアは旧東欧諸国の中でも最も生産性が高い国に属する。 
 
  「スロベニアは旧ユーゴの先進工業地域であり、基本的に経済的基盤は整っていた。1992年のユーゴ紛争による市場喪失からマイナス成長に陥ったが、その後市場経済化、西欧諸国との関係強化に力を注ぎ、1993年より成長率はプラスに転じた。 
  2010年の1人当たりのGDPは17,286ユーロであり、EU新規加盟国の中で最高水準にある。1994年10月にGATT、1996年1月にCEFTAに加盟し、2010年7月にOECDに加盟した。対EU貿易が3分の2を占める。2007年1月にユーロ参加。」(外務省) 
 
  外務省のサイトを参照した。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/slovenia/index.html 
 
■現代の遊牧民〜「モダン・ノマドの日記」〜アンドレイ・モロビッチ 
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  「僕はここに最低でも月に一度は来ることだろう。よそに移動する前にだね。これから僕はもう一度北に向かって3週間移動する。そこでラクダやヤギを飼っている遊牧民の一家と暮らすんだ。彼らの生活のリズムやデテールをもっと知りたいと思っているのさ。」 


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