2012年05月28日20時22分掲載
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アジア
「豪州の圧力に屈するな」「バリ観光ボイコットを」 麻薬密輸の豪女性の減刑めぐり応酬
インドネシア・バリ島で麻薬密輸の罪で禁固20年の判決を受けたオーストラリア人女性の減刑をめぐって、両国で波紋が広がっている。えん罪を主張する女性を信じる豪州では、「バリ島旅行ボイコット」運動が起こる一方、インドネシアでは麻薬密輸で捕まる豪州人が相次いだことから、「罪を認めようとしない豪州人の傲慢な態度に屈するな」と反発の声が出ている。(クアラルンプール=和田等)
バリ島を訪れる観光客のトップの座をしめているのが豪州人である。
ユドヨノ大統領は5月下旬、2004年にバリ島に大麻4.2キロを持ち込もうとしたとして逮捕、禁固20年の判決を受けたシャペル・コービー服役囚(34)の刑期を5年間短縮することを認可した。
これに対して国民から、「減刑を求めてきた豪州政府の圧力に屈した」「ほかの麻薬犯罪者に対するしめしがつかなくなる」といった反発の声が広がっている。
同国では最近、汚職の罪状で有罪判決を受けた政治家が相次いで減刑を認められ、早期出所したことから、汚職やテロ行為、麻薬関連犯罪で有罪判決を受けた者に対してより厳しい刑を科すべきだとの議論が高まっていることが、減刑への反感を駆り立てる要因になっている。
インドネシア憲法裁判所(最高裁に相当)のマーフド・モフマディン長官は、何世代にもわたって害をおよぼすという意味で麻薬犯罪は汚職やテロよりも悪質な犯罪であるとして、コービー服役囚の早期釈放を批判。「ユドヨノ大統領が人道的な見地から減刑を認めたことは合法的であるものの、同服役囚がえん罪を主張し罪を認めていない以上、道徳的にはふさわしくない措置である。また豪州への密入国をめざす難民船を手引きして豪州の領海で拘留されたインドネシアの若者たちの身柄送還と引きかえにコービー服役囚に恩赦を与えることを正当化することはできない」と主張している。
一方、コービー服役囚の弁護人は、インドネシアでの反発の高まりによって、模範囚との判断が得られれば2015年半ばにも仮釈放が得られる可能性がある服役囚の仮釈放に影響がおよぶことへの懸念を表明している。
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